横浜開港祭の開催に合わせて横浜港で公開された護衛艦「あぶくま」に、海上自衛隊大好き漫画家が突撃取材してきました。当日は台風の影響で大雨でしたが、むしろ雨天にしか見ることのないものをチェックすることができたそうです。
[見出し]雨にも負けず、風にも負けず ワレ “鉄分補給” へ
長らくコロナ禍によって中止や延期が続いていた各種イベントも、2023年以降は徐々に復活・再開されてきています。海上自衛隊も同様で、各地で基地開放やイベントが催されるようになり、6月2日の横浜開港祭では護衛艦「あぶくま」、潜水艦「とうりゅう」の一般公開が開催されることに。というわけで、私も久しぶりの “鉄分” 補給に胸を躍らせながら「あぶくま」を取材してきました!
「武器全部のせ!」の機能美にズキュン 台風迫るなか護衛艦に乗…の画像はこちら >>2023年6月上旬に開催された横浜開港祭で一般公開された護衛艦「あぶくま」(乗りものニュース編集部撮影)。
ただ、当日はグアムに大きな爪痕を残した台風2号が沖縄近辺を北上していたため、関東地方を含む日本の広い範囲で雨。横浜も暴風雨でしたが、そんななか護衛艦と潜水艦の一般公開はまさかの開催。
通常、台風が近づくと艦艇は「台風避泊」といって、艦が傷つかないよう沖合に避泊します。しかし今回はぎりぎりの判断のなか開催したということで、こちらも気合が入りました。傘がミサイルのように飛び交う横浜の街を駆け抜け、いざ乗艦!
取材した「あぶくま」は、広島県の呉基地に所在する護衛艦隊第12護衛隊に属する船です。進水したのは1988(昭和63)年で、艦齢も35歳というベテラン艦であるため、昔ながらのシルエットを誇ります。「ザ・護衛艦」とでも言いたくなるような、複数の鉄骨を組み合わせて建てられたラティスマストの無骨さが美しい……。
案内してくださるのは「あぶくま」のナンバー2である副長の村1尉。雨天のエスコートとあって、足元に気を配ってくださる心遣いに感謝です。
[見出し]カッコよさ5割増しの「黒い雨衣」
艦へは後部から乗り込んだので、まずは艦尾から見せてもらいます。いきなり驚いたのが、通常は艦の上の方に陣取っているはずの高性能20mm機関砲、通称「CIWS(シウス)」がまさかの艦尾に! 間近で見るCIWSって意外と大きいんですね、『オバQ』くらいのイメージでした……。
CIWSは接近する小型の目標物に対して高速で弾を撃ち迎撃する近接防御用の装備で、護衛艦ではより目標を捉えやすくするため高めの位置に配置されることが多いのですが、「あぶくま」では上甲板に配置されているので、その存在感をより感じることができました。至近距離で見るCIWSのメカメカしさに思わず興奮してしまいました。
そんなCIWSから少し上に目をやると、これまた至近距離に「ハープーン」艦対艦ミサイルが。こちらは発射により発生する高熱で艦が変形するのを防ぐため、なるべく艦に干渉しないよう対角状に配置されています。
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雨の日に護衛艦に乗る場合は合羽をお忘れなく(たいらさおり作画)。
ほかには、いまや少なくなった対潜ミサイル「アスロック」の8連装発射機。加えてその近くには3連装短魚雷発射管もありました。この「小柄な見た目で全部乗せ!」な感じがたまりません。どこを見ても無駄がない。視界がずっと幸せです。そして艦首には62口径76mm単装速射砲、いわゆる大砲が鎮座しています。この砲身のシルエットこそ護衛艦のシンボルとも言えますね。
「あぶくま」は護衛艦のなかでは比較的コンパクトな船なので、限られたスペースに必要なものがぎゅっと詰まっているのが印象的です。吹き付ける暴風雨がどうでもよくなるほどの機能美におもわずうっとりしてしまいます。
なお、艦艇に乗る際は常に両手を空けておかねばならないため、雨天でも傘を差すことはできません。もちろん民間人も傘はNGなので、雨天の見学時には合羽(レインコート)などの雨具をお忘れなく。
ちなみに個人的に推したいのは、海上自衛官の合羽「雨衣(あまい)」です。黒いダブルのロングコートに制帽をかぶるため、スタイルが良く見えてよりカッコイイのです。雨天のイベントというと少し億劫に思えるかもしれませんが、滅多に見られない海自の「雨衣」はお楽しみポイントのひとつかも。見かけた際は、ぜひチェックしてみてください。