日米通算170勝を誇る松坂大輔さん(42)の弟、松坂恭平さん(40)が野球用品を中心としたスポーツブランド「ONE OF THE ANSWER(ワン・オブ・ジ・アンサー)」を立ち上げたことが11日、分かった。グラブを中心に商品開発と販売を始めており、今後はスポーツアパレル事業も展開する予定だ。(久保 阿礼)
「野球用品を通じて、日本のモノ作りの原点を見つめ直し、職人さんの地位向上と品質と価格にこだわったグラブを提供したい」。起業し、得意のスポーツ分野で挑戦することを決めた恭平さんはこう抱負を語る。
国内のグラブ工場と契約を結び、素材選びからデザインまで一から作り上げたという硬式用グラブ。「プロ選手からも高い評価を受けた」といい、今季ソフトバンクの柳田悠岐外野手(34)や巨人の松田宣浩内野手(40)らが使用する。「今後も試合で使ってもらえる選手を増やしていきたい」。起業について、兄の大輔さんからは「挑戦してみれば良い。困ったことがあれば協力するよ」とエールをもらった。
兄の影響で野球を始め、都内の強豪「江戸川南リトル」では投手兼内野手として全国3位に。都立篠崎高、法大まで野球を続けた。大学卒業後は米アンダーアーマーの国内総代理店「ドーム」に入社。社会人野球、四国アイランドリーグで野球を続けながら、社内では商品開発やマーケティングも担当する“二刀流”だった。
今夏、「違うフィールドで挑戦したい。最高のモノ作りを一から始めたい」と退社し、株式会社「ONE4ALL」(東京都)を設立。同ブランドをスタートさせた。自宅のある新潟市から毎週のように上京し、打ち合わせや営業活動に走り回る。
ロゴは青を基調とし、価格帯は9~13万円で展開。大手メーカーの同程度の商品は5~6万円で割高にも映るが、それはこだわりの結果でもある。「野球グラブは昔から職人さんの技術が高かろうが、低かろうが工賃はほぼ同じ。職人さんの技術に対して、適正な対価が支払われていないと感じていました」。職人が全て手作りで仕上げると、1日2個が限界という。手仕事の価値を再評価した結果、この価格帯で売り出すことを決めた。「職人さんが技術料として、正当な評価を受けるべきだし、同時にお客様にも高い技術に裏打ちされたグラブを使っていただきたい。購入後のケアなど、グラブをずっと使い続けられるようなサービスの提供も考えています」
新たなる「挑戦」、そして「自信」から「確信」へ。思いを込めたグラブは今後、積極的にホームページやSNSで発信していく。
◆野球グラブ事情 日本ではミズノがダントツで人気が高く、ゼット、SSK、久保田スラッガー、アシックスなどが続く。国内で100社近い企業が製造している。米国ではローリングス、ウイルソンが定番。守備位置に応じて使い分ける選手もいる。シューズが有名なニューバランスは1月、エンゼルス・大谷翔平と大型契約を締結し、自社ブランドのグラブを特注品として用意した。DeNAのバウアーは「ボールパークドットコム」(宮崎市)が製造した宮崎県産和牛グラブを使用するなど、こだわりを見せる選手も多い。
◆松坂 恭平(まつざか・きょうへい)1982年11月23日、東京・江東区生まれ。40歳。小1で野球を始め、江戸川南リトル時代は、投手兼遊撃手として全国3位。都立篠崎高、法政大と進学し、主に投手として活躍。法大卒業後、米アンダーアーマー日本総代理店「ドーム」に入社した。2015年12月、大学時代の同級生でフリーアナウンサーの廣川明美さんと結婚。