北陸 立山黒部アルペンルート 標高2450mの室堂で色づき半…の画像はこちら >>
立山の室堂平では、既に紅葉の色づきが始まり、雲上の世界は秋の装い。このあとも、秋雨や台風シーズンは続きますが、最新の天気予報を確認しながら、雄大な自然を体感しに秋の立山黒部アルペンルートを訪れてみませんか。▼ 立山黒部アルペンルートオフィシャルガイド(外部リンク)https://www.alpen-route.com/in
猛暑の影響が懸念されるも 色づきはほぼ例年通りのペース
標高2450m付近の立山室堂平では、イワイチョウやコバイケイソウの黄色味が増し、ナナカマドも赤色に染まってきました。また、標高1930m付近の弥陀ヶ原でも色づきが始まっています。2023年の紅葉は、猛暑の影響でペースが遅くなる懸念がありましたが、今の所は例年通りに進んでいるようです。これから先は、一雨毎に大陸方面から寒気が流れ込み、立山の短い秋は駆け足で進んでいくでしょう。立山黒部アルペンルートを、秋の国内旅行の選択肢の一つにされては如何でしょうか。
防寒具や雨具・クマ鈴(小型ラジオ等)は必携 登山届の提出を
立山黒部アルペンルートは、各種交通手段を利用して手軽に行くことが出来る標高3000メートル級の山岳リゾートです。ただ、ひとたび乗り物の外に出れば、そこは中部山岳の大自然の真っ只中。平野部と同じ感覚でうっかり軽装で現地入りすることのないよう十分注意して下さい。季節が進み日没時刻が早まっています。周囲に高い山があれば、日中でも日陰となって暗くなる所があり、更に日が傾くと、日没は県庁所在地などの代表地点の計算値よりも早く、あっという間に暗くなってしまいます。また、日中と朝晩との寒暖差も大きくなり、急激に気温が低下することもあります。早出早着を心掛け、目的地には明るい時間帯の昼頃までを目安に到着できるように心掛けましょう。これは、午後に発生しやすい不安定性降水による局地的な激しい雷雨や落雷・突風などを回避することにもつながります。また、10月の中旬頃になると降雪になる日も出てきます。日差しがほとんど無い中、万一濡れた身体に冷たい風が吹き付けると、体温を一気に奪われて低体温症のリスクが急激に高まります。防寒や防水対策、登山に適した靴を用意するなど十分な装備をして下さい。濡れた岩場は大変滑りやすくなっています。十分お気を付け下さい。今秋は、ツキノワグマの冬眠を前に、餌となるミズナラやブナの実が不作や凶作となっています。8月には北アの薬師岳の登山口で男性がクマに襲われて軽いけがをした他、9月11日には新室堂乗越で朝7時半頃、クマの親子が目撃されています。餌を求めて行動範囲を広げていることも考えられます。「食料はにおいが漏れないようにする」「食べ残しやゴミは持ち帰る」を徹底、特に単独行の方は、必ずクマ鈴(小型ラジオ等)を携帯するなど十分に注意して下さい。
眼下に雲海 「雲上の世界」たる所以
雲海は、概ね2000m以下の低い空に発生する「層雲」や「層積雲」と呼ばれる雲で下層雲に分類されています。立山室堂平の標高は2450mあり、「雲海」を見下ろすように眺めることができるのが、「雲上の世界」とも呼ばれる所以です。一般に、雲海が発生するために必要なのは、「多くの水蒸気が供給されること」や「夜に空が晴れて、放射冷却現象により、地表付近の気温が下がり、空気中の水蒸気が水滴に変わり霧が発生すること」などが必要となります。「濃霧注意報が発表されている」或いは「天気は晴れで風はほぼ無風に近い状態」になる等、好条件の場合には雲海を見ることができそうです。立山方面では、高気圧が日本海やオホーツク海方面に中心をもつ気圧配置の場合に、海上から下層に湿った空気が持続的に流れ込んで雲海が発生しやすいようです。更に、山頂の3000メートル付近に乾いた空気が流れ込み、晴れて風が穏やかな場合には、雲海が見られる絶好のチャンス到来となりそうです。
立山の初冠雪 平年日は10月12日
初冠雪とは、「夏が終わった後、山麓の気象官署から見て、山頂付近が初めて積雪などで白く見えること」をいいます。北陸地方では「立山」を富山地方気象台が、「白山」を金沢地方気象台が観測していますが、初冠雪の日と山頂付近の初雪の日は、必ずしも同じ日にはなりません。山頂付近で「降水があること」「降水が降雪となる寒気が流れ込むこと」「降雪が積雪となること」「山頂で積雪が解ける前に天気が回復して麓の気象台から観測出来ること」などいくつかのハードルがクリアされて初めて初冠雪の日となります。図の青い丸は立山の初冠雪の日を、緑色の実線は初冠雪の日の変化傾向を示し、1939年の統計開始から2022年までの84年分をグラフ化したものです。84年間で、初冠雪の日は数日程遅くなっている(冬の訪れが遅くなっている)ようにも解釈できますが、長期的な傾向は分かりません。過去最も早い1981年の初冠雪の日は9/14で冬(12~2月)の富山の降雪量は272センチ、最も遅い1977年は11/9で降雪量は322センチ。両者を比較すると初冠雪の日が約2か月近くも遅い1977年の方が冬の降雪量が多くなっています。上記同様にして、2000年以降の近年で最も早い2008年は、初冠雪の日が9/27で降雪量はわずか117センチ、2021年は初冠雪の日が10/21で降雪量は372センチにも達し、初冠雪の日とその冬の降雪量の多寡に相関はなさそうです。
北陸の秋の気象イベント この時期は夏と秋の交差点
北陸地方は季節の交差点に差し掛かっています。福井・金沢・富山・新潟の4市の過去最も遅い猛暑日は、9月14日から21日の期間に観測されています。その一方、立山や白山の初冠雪の平年日はそれぞれ、10月12日と10月21日とされ、この時期は季節が大きく進む時期でもあります。また、この時期は8月と同様に、北陸地方に接近する台風が最も多くなっています。過去には、能登半島や佐渡島を通過したもの、加賀市や柏崎市、新潟市に再上陸した事例など複数確認されています。台風や秋雨シーズンはまだ続きますので、今後も、最新の台風情報や天気予報を常に確認するようにして下さい。
1か月予報 残暑厳しい 台風や前線による短期的・局地的な大雨に注意
この先も北陸地方は残暑が厳しくなりそうです。きょう14日に発表された1か月予報によると、暖かい空気が流れ込みやすいため、向こう1か月の気温は高く、特に、期間の前半は、気温がかなり高い見込みとなっています。ただ、平年より高いとは言え、季節は徐々に進み、平年値が下がっていく中で平年値を上回ることになるので、実況気温のベースは徐々に下がっていきます。最高気温が35℃以上の猛暑日がいつまでも続くということでは決してありません。ただ、秋の運動会や行楽シーズンはまだ続き、農作業をお一人でなさるケースもあるでしょう。屋外で過ごす時間が比較的長い方を中心に、定期的に休憩をとり、水分や塩分を補給するなどして熱中症を予防していきましょう。また、降水量は、ほぼ平年並みの予想となっていますが、台風や秋雨前線の影響による短期的・局地的な大雨には十分注意して下さい。先日の9月7日にかけては、北陸全体でみるとまとまった降水となりました。ただ、地点別に見ると、7日9時までの48時間降水量は、上市(富山)で193.5mmを観測するなど、富山県を中心に降水量が多くなった一方、新潟県の高根は6.0mm、室谷は7.0mm、石川県のかほくは1.5mm、福井県の小浜は2.5mmなど、極端に降水量が少ない地点もありました。今後も短期的・局地的な大雨となる傾向が続く可能性があり、十分注意して下さい。