会社員の追徴課税 収入少なくても副業に注意!申告漏れは1119億円に

社員の税金は会社任せでごまかしようがない」はずですが、最近、税務調査が入り「追徴課税」される会社員が増えています。
国税庁の調査で’22年6月までの1年間と前年同時期を比べると、所得税の申告がない人への税務調査は約3割増えて3千828件。所得の申告漏れ額は5割近く増えて1千119億円、追徴税額は2倍超の190億円と軒並み増えています。
これらがすべて会社員とは限りませんが、’23年3月には元会社員のユーチューバーが報酬など約3千600万円を申告しなかったため、約700万円を追徴課税されたという報道もありました。
会社員の申告漏れのおもな原因は「副業」で、2種類あります。
まず1つは、本業とは別の会社でアルバイトなどを行い、給料を受け取るケースです。
本業の会社で年末調整を受けていても、副業の会社で受けていない場合は税金の払いすぎかも。払いすぎた税金は還付されますので、忘れずに申告しましょう。
もう1つは、原稿料やデザイン料、料理教室の講師料など、プロジェクト単位で携わった業務に対する報酬を受け取るケースです。
この場合、受け取るのは給与ではなく「雑所得」です。本業の給料とは別に、雑所得が年20万円以下なら申告は不要ですが、年20万円を超えると確定申告が必要です。
ただし、所得は売上げとは違います。たとえば料理教室を開いた場合、会場費や材料費などの経費を、教室で得た売上げから差し引いたものが所得です。売上げと混同しないよう注意してください。
■正々堂々申告するのが結局は安心だ
会社員が副業の税申告をしない理由は「本業の会社に知られたくない」「確定申告が必要だと知らなかった」などもあるかもしれませんが、やはり税金逃れが多いでしょう。といっても「脱税」ほど罪の意識はなく「本業と離れた地域での収入だし大金でもないから、税務署にはわからないだろう」という“ごまかし”が多いのでは。
しかし、’16年のマイナンバー制度の導入以降は通用しません。
マイナンバーとは日本に住民票があるすべての方が持つ12桁の個人番号です。物議をかもしている任意取得のマイナンバーカードとは分けて考えてください。
税金に関わる源泉徴収票などの「法定調書」はマイナンバーと紐づけられています。そのため、税務署は収入をマイナンバーごとに名寄せして把握し、税申告との突き合わせも簡単に行えるようになりました。会社員の税務調査や追徴課税が増えたのはこのためです。
申告漏れが税務調査などで発覚した場合、本来の納税額に5~30%上乗せした追徴税が課せられます。また、隠ぺいなど不正があった場合は冒頭のユーチューバーのように「重加算税」として35~40%上乗せのペナルティも。
最近は副業OKの会社も増えています。副業の収入も正々堂々と申告し、きちんと納税しましょう。