クルマの燃料を入れ間違えたらどうなるのでしょうか。ハイオク車にレギュラー、ガソリン車に軽油など、様々なタイプの入れ間違いが起こっています。その原因は、「思い込み」も少なくないようです。
多くのガソリンスタンドでは、自動車向け燃料を「ハイオク」「レギュラー」「軽油」の3種類から、自分の車種にあった種類のものを給油することが一般的です。しかし仮に、誤って自分の車種で普段入れている燃料以外のものを入れてしまった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
「ガソリン車に軽油」「ハイオク車にレギュラー」給油したらどう…の画像はこちら >>給油のイメージ(画像:Koonsiri Boonnak/123RF)。
結論としては、その車種に対応した燃料以外を入れた場合、多かれ少なかれ、影響が出る可能性が高いといえそうです。
まずは「ハイオク車にレギュラーガソリン」を入れてしまったケース。
ある自動車整備工場の代表によると、ハイオク車の場合、レギュラーガソリンでは十分に圧縮する前に爆発してしまうため、エンジン本来の性能を引き出せないとのこと。また、何度も誤給油をするのは、エンジンの異常現象のひとつである「ノッキング」の原因になるほか、エンジン系統のセンサー類にも悪影響が及ぶ可能性があるといいます。
逆に、レギュラー車にハイオクを入れても問題はないそうで、むしろ石油元売りによると、ハイオクガソリンにはエンジンの洗浄効果があるとも。実際、レギュラー車にあえてハイオクを入れる人もいるようです。
ついで、「ガソリン車に軽油を入れてしまった」ケースではどのようになるのでしょうか。
JAFによると、ガソリンに軽油が混ざると、エンジンの出力が下がり、加速も鈍く、アイドリングも不調に。100%軽油だけを入れた場合、黒い排気ガスが出るようになり、やがてエンジンが止まってしまうといいます。
なお、過去のJAF調査で、油種間違いの半数近くを占めたこともあるのが、この「ガソリン車に軽油」を入れる事例だそう。とくに「軽自動車は軽油」と思い込み、誤って軽油を入れてしまったドライバーが少なくないようです。
またその逆に、軽油で動くディーゼル車に、ガソリンを入れてしまった場合も、車両に悪い影響を及ぼす可能性があります。
JAFは「最初のうちエンジンはかかっていますが、すぐに力がなくなってきます。エンジン音は高くなって、アイドリングも不安定となり、排気ガスは白くなってきます。こうなると噴射ノズルや燃料ポンプの交換が必要になる場合があります」とし、ウェブサイトで注意喚起をしています。
さらにこのケースでは、軽油とガソリンの混ざり具合で症状に差があり、エンジン始動が不可能になる場合もあるとのこと。なお、エンジン始動前にすみやかに燃料を入れ替えれば大きな問題はないとしており、実際の救援でも、燃料を抜く作業を行うそうです。
ちなみに、ディーゼル車にガソリンを入れ間違うというトラブルが発生する理由のひとつには、「貨物車だからディーゼル」との思い込みがあるようです。
あるレンタカー事業者によると、トラックは軽油を使うディーゼル車がほとんどであるものの、レギュラーガソリンのクルマが増えている商用バンで、油種間違いが発生する傾向があるといいます。