YouTubeで俳優の綾野剛(41)らを脅迫したなどとして、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)など5つの罪に問われた元参院議員のガーシーこと東谷義和被告(52)の第2回公判が30日、東京地裁で開かれた。旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)の創業者・ジャニー喜多川氏の性加害を告発してきた元ジャニーズJr.の歌手カウアン・オカモト(27)が証人として出廷し「唯一メディアで(性被害を)取り上げてくれた。恩がある」と思いを語った。
カウアンは、英BBCがジャニー氏の性加害問題を報じる前の昨年11月、ガーシー被告とのYouTube生配信の対談で性被害を告白していた。淡々とした口調で「影響力のあるメディアで忖度(そんたく)せずに取り上げてくれると思った」と振り返り、ガーシー被告は、誹謗(ひぼう)中傷を恐れていたカウアンに対し「俺が中傷を全部かぶる。守る」と勇気づけていたという。
カウアンによると、配信後はコメントを含め、多くの反響があったようで「唯一、日本のメディアで(性被害を)取り上げてくれた。(他メディアは)動画の切り取りなどがあり不信感があった。真実を伝えてくれた」とし「(社会問題となったことについては)ガーシーさんの功績が大きいと思う。ガーシーさんがいなければ(告白する)勇気は出なかった」と率直な思いを語った。
一方で、ガーシー被告の起訴内容に関しては「暴露とか絶対にやめてほしい。脅迫は許されない」と強調。今後のガーシー被告との関わりについては「もちろん応援する」とし「彼に救われ、勇気をもらった人は多い。影響力がありカリスマ性もある。コメンテーターなど違う形でエンタメを届けてほしい」と述べた。
黒のスーツに黒のネクタイで姿を現したガーシー被告はカウアンの発言を静かに聞いていた。その後、同被告の母親(77)も弁護側証人として出廷。今年3月に兵庫県の実家に家宅捜索が入った際、同被告は「オカンだけは勘弁して」と涙ながらに訴える動画を配信していたが、終始表情を変えることはなかった。この日は証人尋問だったため、ガーシー被告が発言する場面はなかった。
この日は傍聴券15枚に対し、244枚の整理券が交付され、倍率は約16倍となった。9月の初公判は約31倍だった。第2回公判は約30分で終了し、次回は12月21日に被告人質問が行われる。