「実は警察官なんだよ」
警察庁幹部は上着の下に着ていた「制服」をチラ見せし、犯行に及んでいた。
マッチングアプリで知り合った20代女性に「警察官だ」と明かし、性的暴行を加えたとして、中国四国管区警察学校(広島市南区)の指導部長で警視正の岩本幸一容疑者(58)が7日、不同意性交と強要の疑いで広島県警捜査1課に逮捕された。
■休みの日にわざわざ制服を着用
岩本容疑者は9月30日午後10時ごろ、広島市中区のラブホテルで20代女性に対し、「実は警察官なんだよ。売春とかを担当する部署にいる。これは犯罪になる」と脅し、女性に言うことを聞かせ、肉体を弄んだ。コトを終えると、岩本容疑者は事前に用意していた「始末書」と題した1枚の書面を取り出し、その場で女性から「聞き取り」を行い、書類を作成していた。その日は警察学校が休みの土曜日だった。
2日後の10月2日午後6時半ごろ、岩本容疑者は始末書に書かれた住所をもとに被害女性の自宅付近を訪れ、道路上で待ち伏せ。帰宅してきた女性を呼び止め、「電話番号を教えて!」と言って、携帯番号をゲットした。
翌3日、不安になった女性が「アプリで知り合った男に個人情報を教えてしまった」と警察に相談。女性のスマホと現場付近の防犯カメラなどから、岩本容疑者の関与が浮上した。
調べに対し、「被害女性と会ったことは間違いないが、性交や強要はしていない」と容疑を否認しているという。
■同様の被害が複数
「岩本は上着の下に階級章のついた制服を着ていましたが、女性もまさか本物の警察官がそんなことをするのかと、半信半疑だったようです。女性は『警察だ』『犯罪になる』と言われたことから、つい住所や携帯番号を伝えてしまった。岩本は女性に警察官だと信じ込ませるため、わざわざ制服を着用して会いに行っていた。一度うまくいったため、調子に乗っていたようです。他にも同様の被害を訴えている女性が複数います」(捜査事情通)
岩本容疑者は岡山県警で玉島署長や生活安全企画課長を歴任し、今年3月、警視正に昇格して警察庁に移り、警察学校を管轄する中国四国管区警察局に出向していた。警視正とは、道府県本部の部長や大規模警察署の署長、警察学校長などを務める国家公務員で、各県警には数えるほどしかいない大幹部だ。
「中国四国地方の9県の警察署に勤務する警部補や巡査部長などを対象に、昇任時の教育や専門分野を教えています。管区警察学校内には庶務部、教務部、指導部があり、岩本警視正は指導部のトップです。柔術や拳銃など教育訓練全体を取りまとめる立場で、直接指導を担当することもあります。普段は制服を着用して業務に携わっています」(同局監察課)
幹部を育てる立場にありながら、国から支給された制服を悪用して女性を脅し、エロ行為を繰り返していたとは、警察官の風上にも置けない。