大麻による逮捕者が3人となった、日大のアメリカンフットボール部が廃部になるとの報道がなされました。私のごく身近に、そのフェニックスでバイスキャプテンをしたOBがいて、早い時期から最悪のケースも想定していました。もちろん内心寂しさや虚しさ、悔しさでいっぱいであろうと思います。特に彼は、フェニックスの黄金期を築いた篠竹幹夫元監督の下、きわめて厳しい練習と集団生活を送って、大学日本一を経験しているので、なおのことでしょう。
私も篠竹元監督を何度か取材したことがあり、部員の親や支援者からの山のようなプレゼント?が積み上げられている部屋には仰天した記憶があります。「強い指導力」といえばその通りですが、独特の練習方法や生活ルールには、びっくりするようなものもありました。
例えば、監督と一緒にお風呂に入って、部員が監督の好きなシャンソンを唱和するという話。今なら「パワハラ」とされてもおかしくないようなエピソードです。でも、そういう閉鎖された集団生活の負のレガシーの中で、今回の薬物事件も起きていると思われてなりません。
つまり、大学幹部たちの健全なグリップが利いていない、目が行き届かないところで、「強いスポーツ部」は、ある種の治外法権的な集団となってしまっていたのではないかということです。大学にとって肝心なことの一つに、自治の精神があります。個々の大学が、外部からの不当な利害による干渉を受けずに、経営幹部はもちろんのこと、職員、そして学生全員が共に自立した自治を守ることです。
権力闘争は論外であり、学び舎としての誇りを取り戻してほしい、そのためには学生たちを置き去りにせずに、共に改革に乗り出すべきではないでしょうか。学生もどんどん声をあげてください。(キャスター)