温暖な場所で越冬するため、今年も東北地方のミツバチたちが、続々と南房総地域に“お引っ越し”を始めた。同地方の養蜂業者によって持ち込まれたミツバチは日当たりの良い山林などで英気を養う。個体数を増やし、花の開花とともに北国へと戻る。
創業以来、70年以上にわたって越冬作業の窓口役を担う「ひふみ養蜂園」(館山市)の尾形玲子社長によると、千葉県内には例年、11月から12月上旬にかけて東北地方から多くの養蜂業者が訪れ、平均で約2万匹のミツバチが入った蜂箱約1万箱を持ち込む。うち半数ほどが温暖な南房総地域に集まるという。
5日には、岩手県軽米町の「小森養蜂園」から運び込まれた蜂箱約120箱が南房総市内の山間部の蜂場にずらりと並べられた。状態を確認するため、同園代表の小森満さん(47)が箱から巣を引き出すと、一部のミツバチは羽音を響かせ、心地よさそうに飛び回った。
ミツバチは、大型連休前には千葉県北部名産の梨や東北地方のサクランボ、リンゴなどの花々を巡りながら北上を始めるという。小森さんは「今年は夏の暑さで蜂が思うように増えなかった。暖かい南房総で上手に冬を越して元気になってくれれば」と期待した。