木更津市下内橋の住宅敷地内で白骨化した須藤秀平さん=当時(22)=の遺体が見つかった事件で、15年前に須藤さんを殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職、小川順也被告(38)=同市=の裁判員裁判初公判が12日、千葉地裁(上岡哲生裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。
起訴状などによると、2008年8月15日ごろ、被告方の玄関で須藤さんの頭などをバールで複数回殴り殺害したとされる。被告は22年4月~23年3月、会計を担当していた自治会の口座から15回にわたり現金を払い戻し、計約45万円を着服したとして、業務上横領罪にも問われている。
検察側の冒頭陳述によると、被告と須藤さんは小中学校の同級生で、当時から金銭を要求されていた。07年、須藤さんが祖父と母と同居していた被告を訪ね、被告方に居候するようになった。
再び金銭を渡すよう強要されるようになり、拒否すると暴行を加えられていた。祖父の年金支給日にも金銭を要求され「(被告は)ここで渡したら、今後も渡さないといけなくなると思い殺人を決意した」という。
業務上横領では、被告は自治会の会計担当という立場を悪用し、複数回着服し生活費やギャンブルに使用した。自治会総会で会計報告をするにあたり、区長に相談したところ、総会で報告するよう求められた。横領の説明を回避するため110番通報し、自首した。
弁護側は、須藤さんから「今日年金の日だろ、下ろしに行くぞ」と祖父の年金を要求され「(被告は)断れば祖父や母にも暴力を振るわれる恐れがあり、ここで終わらせるしかないと思った」と述べた。
被告は3月、業務上横領容疑で県警に逮捕され、県警に「知人を殺害した」と説明。被告方の庭の土中から須藤さんの遺体が見つかり、県警は殺人の疑いでも逮捕した。死体遺棄罪は3年の公訴時効が成立していたため、立件されなかった。