進路や将来について考えてもらおうと、香取市の県立佐原白楊高校(湯上準一校長)で、江戸情緒が残る市内の観光地「佐原の町並み」に店を構える喫茶店「茶屋花冠本店」の主人、松本栄文さん(42)を招いた講演会が開かれた。1年生196人が「食」の多彩な分野を紹介する話に耳を傾けた。松本さんは「若いうちにいろいろな経験を積み重ね、(行動に必要な自分の)引き出しを増やすことが大切」と呼びかけた。
講演会は生徒の職業観を深める授業の一環。同校によると、4月に1年生に実施した進路希望調査で、約2割にあたる40人が「未定」と回答したことから、地域の経営者を招く講演会やグループワークを盛り込んだプログラムを用意した。
料理人でもあり、食品学者でもある松本さんは、佐原のほか、東京・二子玉川で会員制の美食サロンを営む。企業の商品開発なども手がけている。講演では、食に関する仕事や自身の学生時代の過ごし方を紹介。松本さんは「チャンスは常日頃から山ほどある。そのチャンスに気付けるかどうか。経験を積んで引き出しを作って」と訴えた。
同校の西崎颯人さん(16)は「考えてから行動するのか、行動してから考えるのか、大切なのは」と質問。松本さんは「考えて行動するとちゅうちょする自分がいるから深く考えない。経験の積み重ねが自分自身を引っ張ってくれている」と答えた。
講演を聞いた川端凛音さん(16)は「松本さんは自信にあふれていた。刺激を受けた」と話した。