野田市出身で「土竜(モグラ)の唄」などの作品で知られる漫画家、高橋のぼるさん(59)の原画など計131点が並ぶ「高橋のぼる作品ミニ展示」が11日、同市立興風図書館で始まった。丁寧な取材に基づくストーリーと鮮やかな描写力で評価の高い高橋さんの初個展。初日は高橋さん本人が来場し「野田での少年時代に好きな絵を描き続けたことが今につながった」と、故郷への思いを語った。
高橋さんは、潜入捜査官が主人公の「土竜の唄」や中国史劇「劉邦」など骨っぽい力作で知られる。「土竜の唄」は全82巻で累計発行部数1千万部を超え、映画化もされた。高橋さんは野田市立の小中学校を卒業し、県立清水高中退。市内のすし店などで働いた時期もある。
会場には「土竜の唄」の原画9点や、今回の個展のため高橋さんが描き下ろしたサイン入り色紙が並ぶ。「漫画の設計図」とされる「ネーム」や「下書き」の実物を並べ、「土竜の唄」の誌面が完成する工程も分かりやすく紹介。野田で過ごした当時の高橋さんの写真も展示した。展示は市が高橋さんに依頼して実現した。
来場した高橋さんは、鈴木有市長らと懇談。「母親には『紙と鉛筆さえ持たせておけばずっと絵を描いている手間のかからない子』と言われた」と振り返り、「好きなことを好きなようにやってきた幸せな人生。子どもたちにはぜひ自分の好きなことにチャレンジしてほしい」と強調した。会場のパネルにはサインとともに「感謝」と記し、「伸び伸び育ててくれた野田の人たちへの思いを込めた」と目頭を熱くした。
来場した同市在住の県立野田中央高1年、野口夢叶(ゆめか)さん(16)は「絵の臨場感がすごい。世界的な活躍に期待している」と展示に見入った。
3月20日まで。無料。問い合わせは同図書館(電話)04(7123)7611。