自民党「脱法」“荒稼ぎ”議員ランキング 3位・甘利明、2位・茂木敏充を超えた1位は?

“パー券裏金問題”に大揺れの自民党。党のアンケート調査で明らかになった“裏金議員”(派閥の政治資金パーティー券の収入のキックバック分を収支報告書に不記載)は、90人超えに。
2月29日の衆議院の「政治倫理審査会」で岸田文雄首相(66)は「私的利用は確認できず……」と“しらばっくれる”始末。
ところが、これ以外にも脱法的な方法で、多額の資金を得ている議員たちがいる。
そこで本誌は、“脱法荒稼ぎ議員ランキング”を作成。そこでは、「派閥パーティー禁止」を声高に訴えている小泉進次郎元環境大臣(42)も4位にランクインしていた。
小泉氏に関しては、『週刊ポスト』により一連の報道がなされている。
小泉氏は、コロナ禍の2021年、自身の資金管理団体主催による「小泉進次郎オンライン研修会」を4回開催。計1528万円もの“荒稼ぎ”をしたという。
■オンライン会合では政治資金規正法が適用されず透明性が低くなって
総務省は、オンライン会合による収益を禁じてはいないが、「新たな“抜け道”になる」と懸念するのは、裏金問題を告発している神戸学院大学教授の上脇博之さん。
「政治資金パーティーの代金は、会場費や飲食代などの“対価”として支払うという建前です。しかしオンラインの場合、会場費も飲食代も発生しない。よって、政治資金パーティーの扱いにならず、小泉氏は“その他の事業”として、政治資金収支報告書に記載しています。そうなると、〈20万円を超える購入者は、氏名等を記載しなければならない〉〈1回のパーティーにつき、同一の者からの支払いは150万円以下に限られる〉といった政治資金規正法も適用されません。極めて透明性が低くなるのです」
小泉氏のオンライン研修会は、利益率が8割と非常に高いという。
「利益率があまりに高いと、実質、献金です。献金なら、同一の者から年間5万円を超える寄付を受けた場合、政治資金収支報告書に寄付者の氏名など明細を記載しなければならないのです。このような抜け道につながりかねない事業は禁止すべきです」(上脇さん)
また、小泉氏は、2022年にもセミナーや政治文化パーティー等を計12回開催。稼いだ額は、総額8578万円にものぼるとのこと。
これについて小泉進次郎事務所に見解を求めたところ、〈法令及び総務省の見解などに従い適正に実施し、その収支は当該年分の収支報告書に記載している通り〉と回答があったのみだった。
より悪質なのが、“安倍派5人衆”のひとりで派閥のパー券収入のキックバックも受け取っていた西村康稔前経済再生担当大臣(61)。
『週刊文春』2023年12月21日号の報道では、裏金問題が発覚した昨年10月以降も、3回にわたって大口の支援企業が1枚2万円のパー券を購入するかたちで「西村やすとし茶話会」を都内のホテルで開催。参加者はパー券を購入していない経産省の職員ら10人弱。利益は1回あたり数100万円とボロ儲けの“架空パーティー”だったという。
7位は岸田文雄首相。2022年に首相の地元・広島県で開催した「内閣総理大臣就任を祝う会」。主催は任意団体のため〈政治資金パーティーにはあたらない〉として、少なくとも1000万円あった収入は、政治資金収支報告書に記載されなかった。
「任意団体が主催だと言っていますが、連絡先が岸田事務所になっていますから、事実上、首相の後援会が主催していると考えられます。そうなると政治資金規正法違反になります」(上脇さん)
こうした“脱法”的事例は枚挙にいとまがない。
直近では、茂木敏充幹事長(68)の資金管理団体から寄付を受けた茂木氏自身の後援会で、2020~2022年の間に約9400万円の使途不明金があったことも明らかに。茂木氏は2022年にも計9億7150万円もの政策活動費を受け取ったことが報じられ、ランキング2位に。
3位の甘利明元幹事長(74)も、過去に合計約4億6060万円の政策活動費を受け取っている。
“裏金議員”の松野博一元官房長官(61)にいたっては、昨年12月に辞任するまでの2週間で、約4660万円の官房機密費を受け取ってランキング5位に。
そして堂々ランキング1位を飾った二階俊博元幹事長。幹事長を務めていた2016~2021年の5年間で、約48億円の政策活動費を受け取っていたことが、今国会で明らかになった。
政策活動費や官房機密費は、〈使途を明らかにすることによって政治の自由が奪われる〉として、使途公開の義務がない。
「政策活動費や官房機密費は、〈使途を明らかにすることによって政治の自由が奪われる〉として、使途公開の義務がありません。ですから“表の裏金”と言われています」
と、話すのは、これまで大物政治家の取材経験も豊富なジャーナリストの佐藤章さん。
これほどの大金、いったい何に使われているのか。
「党勢拡大や政策立案、調査研究のために使ったとされていますが、主なところは選挙対策や選挙費用に使われているようです。いわゆる“陣中見舞い”と呼ばれるカネで、自民党幹部が公認候補の応援に行った時に渡す慣習になっている“金一封”の中身になるわけです」
ところが、使い道は本当にそれだけかという疑惑もあるという。
「2月14日の衆院予算委員会で立憲民主党の井坂信彦議員が指摘したのですが、岸田政権でわずか35日間だけ幹事長を務めた甘利明氏の場合、自分が小選挙区で落選して比例復活した2021年の総選挙の期間、8回に分けて合計3億8000万円の政治活動費を受け取っていたことがわかったんです。つまり、自分の選挙のために政治活動費をネコババしたんじゃないか、と追及されていました」
領収書すら提出する必要のない政策活動費や官房機密費ーー。
朝日新聞の報道によると、2003年からの20年間で、政党から議員個人に渡った政策活動費は自民党がもっとも多く、全体の8割にあたる347億円にのぼる。
すべての使途を明らかにしない限り、国民の怒りは収まらないに違いない。