自転車の格闘技とも言われるBMXレーシング。そのBMXでパリオリンピック出場を目指すのが新潟県上越市出身の中井飛馬選手です。W杯23歳以下の初代シリーズチャンピオンにも輝きましたが、去年、右肩などを負傷。ケガからの早期復帰を目指しながら、パリオリンピックにかける思いを取材しました。
2月、自転車とともに姿を見せたのは自転車競技・BMXレーシングで活躍する上越市出身の中井飛馬選手です。
【中井飛馬 選手】
「あすからまたアメリカに戻って…」
今年7月のパリオリンピック出場を目指し、海外を拠点に練習を積んでいる中井選手。
街ではゆっくり自転車を押していますが、レースでは400mほどの起伏のあるコースでジャンプを駆使しながらスピードを競います。
その激しさから「自転車の格闘技」とも呼ばれるBMXレーシング。
中井選手は2017年に世界選手権のジュニアエリート部門で日本人過去最高の4位に入賞すると、全日本選手権ではジュニア時代も含め3連覇を果たし、2021年にはW杯の23歳以下で初代シリーズチャンピオンに輝くなど世界にその名を轟かせています。
【中井飛馬 選手(2022年)】
「パリオリンピックでメダル獲得というのは、東京オリンピックが終わった時点での目標にしている。金メダルを目標に頑張ります」
日本自転車競技連盟の最高ランクの強化選手にも指定され、パリオリンピック出場とメダル獲得に期待がかかりますが…
【中井飛馬 選手】
「22年の末から左の鎖骨が2回折れた。なので、ほぼ1年の間に2回折れて、右肩はけんばんというところが今も切れたまま。手術をすると間に合わないので、切れたまま一応やっている」
おととし10月の大会で転倒し、鎖骨を折るケガをしたほか、去年は別の大会で右肩をケガ。さらに…
【中井飛馬 選手】
「そこからシーズンが終わって大会も何カ月もないから、ここで巻き返して。調子・結果どうこうは置いておいて、まず自分の調子を取り戻さなきゃいけない。そういうのでフランスで気合い入れて練習した最中のケガだったので、けっこうきた」
パリオリンピックに向け、重要な時期の度重なるケガに悩まされていました。それでも代表内定を目指し、自転車に乗り続ける中井選手の原点にあるのは、BMXへの思いです。
5歳の時に父親の友人から紹介されBMXに出会い、12歳の時にはアメリカのチームに所属。中学卒業時にはコーチから毎日指導を受けられる環境に身を置くため親元を離れるなどBMX漬けの日々を送ってきました。
その原動力となっていたのは…
【中井飛馬 選手】
「好きだから。好きなことで夢がある。オリンピックでの金メダル、今はそれに向けてできることを全部やって、それを追求していく」
「大好きなBMXでオリンピック金メダルを」この思いは、ケガに悩まされている今も変わっていません。
【中井飛馬 選手】
「楽しくない時もやっぱり最近増えてきた。ケガとか勝てない時とかは楽しくないけど、乗ること自体は楽しい。あと、BMX自体かっこいいし」
ケガからの早期復帰を目指し、日本でリハビリ生活を送っていましたが、再び海外へ移動し、パリオリンピック代表内定がかかる5月の世界選手権に向けて練習に励みます。
【中井飛馬 選手】
「世界的に見たら、多分みんな知らないような町からオリンピックに出場して、メダルを取るということは自分自身もそうだし、周りの人も誇りに思ってくれることだと思う。自分の活躍でみんなが元気になるようなことになればすごくうれしいので、それに向けて、メダル獲得に向けて頑張っていけたらなと思う」
パリオリンピックでのBMXレーシングの出場枠は男女各24人ずつで、自転車競技連盟によりますと、中井選手が代表内定を勝ち取るには世界選手権で上位にランクインすることが必要ということです。