今月も商船1隻が沈められる。
世界の海運交通情報を発信しているMarineTraffic(マリントラフィック)は2024年6月20日、公式X(旧:Twitter)において、スエズ運河を航行するばら積み貨物船輸送量が激減していると発表しました。
「世界的航路が寸断の危機」商船攻撃が相次ぎスエズ運河を利用す…の画像はこちら >>商船を護衛するドイツ海軍のフリゲート(画像:EU/ユーナフアスピデス)。
マリントラフィックが公開したデータによると、2023年6月と比べて2024年6月にスエズ運河を通過するばら積み貨物船が118隻からわずか24隻になったことが明かし「重要な世界的航路が寸断されている」と投稿しました。
実に79.6%も減少したことになりますが、主原因は紅海で商船を対象とした攻撃を行っている、イエメンの反政府勢力であるフーシ派の影響です。
同組織は、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム勢力であるハマスとの連帯を表明しています。そのため、2023年10月以降、周辺を航行する民間船舶がイスラエルに関わりのある船であるとみなした場合、巡航ミサイルや無人機、自爆ドローンで攻撃しており、イスラエルがガザへの攻撃をやめない限り、攻撃を緩めるつもりはないと述べています。
紅海には、イスラエルのガザ地区攻撃直後から展開していた米英海軍のほか、欧州連合(EU)やインド海軍も艦艇を派遣して、商船護衛に当たっていますが、被害は収まっていません。6月18日にフーシ派は、ギリシャ船籍の石炭運搬船「チューター」を攻撃。これを撃沈しています。3月にもイギリスの貨物船が撃沈されています。
なお、世界の貿易情報を発信しているクプラーによると、「チューター」撃沈により、紅海航路の保険料が高騰しているということで、その結果、用船者のコストがさらに上昇することが予想されています。この状況の解決策については「海軍のパトロールを強化しつつ、交渉による解決を図る必要がある」としています。