木更津総合、耐えて歓喜 「見捨てない」主将の下団結 第106回全国高校野球 千葉大会 最終日

▽決勝(ZOZOマリン)
市船橋
0010000000―1
0000100001x―2
木更津総合
(延長十回。十回からタイブレーク)
体をのけ反らせて大会7度目の“全力校歌”を歌い上げると、ナインは雄たけびを上げながらオレンジに染まったスタンドに駆け出した。延長タイブレークを制し、2年前の決勝で敗れた市船橋に雪辱。木更津総合が3連覇を成し遂げた2018年以来の甲子園切符をつかみ取った。
表の守りを踏ん張った先に歓喜の瞬間が待っていた。延長十回無死一、二塁。バットを横に寝かせた和田達也は完全に勢いを殺した打球を三塁線に転がした。悪送球を誘い、二塁走者の吉沢梢真がサヨナラの本塁を踏んだ。
新チームで迎えた秋の県大会は3回戦敗退。長い冬に突入した。厳しさを増す練習。加えて「指導者に怒られることも多くて、後ろ向きになる選手がたくさんいた」と川上泰輝主将。チームの雰囲気は落ち込み、野球から心が離れる選手もいた。
つなぎとめたのは主将だ。チームを引っ張る役割を任された時から決めていたことがある。「一人も見捨てないで1対1で向き合う」。苦手なノックでミスが続き、不満をあらわにした井上陸には練習終わりのグラウンドやSNSで3時間以上話し込んだ。主砲を担う同級生へ「このチームを引っ張る立場。悪い雰囲気をもたらしたらダメだ」。
「どうしていきたいか一緒に考えてくれた。周りが見えて良いキャプテン」と井上。下を向く選手を見れば、そのたびに熱い思いをぶつけた川上主将は「真面目な話をして変わってくれた選手が何人もいる」。徐々にだが、確実に団結力を強めていった木更津総合。背番号18の主将の下、ノーシードで勝ち上がった夏、最高の結果を呼び込んだ。