少女が性的に搾取されていく様子を、つぶさに描いた作品。2020年1月、フランスを騒然とさせたヴァネッサ・スプリンゴラの自伝的著書「同意」の映画化である。
聡明(そうめい)過ぎる故に孤独な14歳の少女は、50歳の著名な作家からの熱烈なラブレターを何通も受け取り、唯一の理解者に出会えた喜びを「愛」だと信じ、身も心も全てをささげていく。結果、成長と呼ぶにはあまりにいびつな変貌を遂げるヴァネッサ。一方、小児性愛者である作家は、「大人の女」の振る舞いを始めた彼女への興味を失っていく。
ヴァネッサ本人にとって、完全に否定してしまうには大き過ぎる人生の一部分。深くえぐられた傷を、自身の言葉で書き連ね、本の中に閉じ込めることで彼女は前に進もうとした。そしてこの映画はまるで、彼女の傷の上にできたかさぶたのよう。
(桜坂劇場・下地久美子)
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