佐賀県ではこんなのが捕れる ウナギに似てるけど…「凶悪」「怖い」

旅行先で楽しみなことの1つが、その地域ならではの食べ物。
日本各地にある特産品の中には、見た目のインパクトが強烈ゆえに、人々をざわつかせる物も存在しているようです。
「こんなのが川で捕れるのが、佐賀県です」
福岡県柳川市にある『やながわ有明海水族館』の、前館長である亀井裕介(@kame___suke)さんは、ある魚の写真をXに投稿。
顔を見た人たちから「怖い」という声が続出しました。
亀井さんが、自らの手で捕った魚の姿がこちらです!
ウナギのような、細長くぬめぬめとした体をしているものの、口元がまるで異なります。
牙をむき出して、大きく口を開けている姿が、攻撃的に見えてギョッとしますね。
しかし、見た目に反して、噛まれても少し痛い程度とのこと。実際に噛まれたことがある、亀井さんによると「出血したことはない」といいます。
見た目とのギャップが激しいこの魚は、日本では有明海にしか生息していない、ハゼの仲間であるワラスボ。
主に干潟に生息しますが、淡水と海水がまじり合った『汽水域』であれば、河岸の泥干潟でも捕れるそうです。
【ネットの声】
・けっこう凶悪な面構えですよね。キモかわいくて好き。
・見た目がこんなで、食欲が減退しそうだけど、本当においしいんだよ。
・モンスターじゃん。最初にワラスボを食べた人は、勇気があるな…。
・宇宙生命体としか思えないんだけど?
一度見たら忘れられないワラスボを、もっと知りたくなった人は多いでしょう。
grapeが亀井さんに、ワラスボの味や捕獲方法、魅力について尋ねると、興味深い話を聞くことができました。
ワラスボの『幼少期』の姿に驚き
――ワラスボの味と食べ方は?
味噌汁に入れて食べますが、割と普通の魚って感じです。ちょっと味にクセのある白身魚。
刺身でも食べられますが、ワラスボとしかいいようのない味なので、実際に食べないと分からないかもです。
――ワラスボの捕獲方法は?
泥干潟をよく見ると、穴がたくさん空いてます。
シャコやカニ、ムツゴロウ、トビハゼの巣穴が多いのですが、慣れてくると『ワラスボっぽい巣穴』が分かってくるので、分岐した穴をたどるように素手で掘り返すと、ワラスボが捕れます。
とはいえ、スコップや『スボかき』という専門の道具で捕る方法もあるので、そっちのほうが効率がいい気がしています!
――ワラスボの『推しポイント』は?
まあ、見た目ですよね。
明かりがほぼ届かない泥の中で暮らすために目が退化した一方、甲殻類を食べるためなのか、口は大きく歯も発達しています。
「腹びれに吸盤がある」というハゼの特徴があるとはいえ、ぱっと見ただけでは、地球の生き物かすらを疑う独特なフォルムで、まさにエイリアンでしょう。
ちなみに幼魚は赤色で、目がクリクリとしている意外な一面も。
エツやムツゴロウと同じく、日本では有明海にしかいない『有明海特産種』なのですが、これはかつて中国から、たくさんの生き物が有明海に渡ってきた名残なんです。
そういった意味で、泥の海である独特な有明海を代表する魚といえるかもしれません。
ワラスボの幼魚
佐賀県の土産として、干物で販売されていることが多いワラスボが、現地では刺身でも食べられているとは驚きですね。
また、幼魚だと牙が小さく、つぶらな瞳で愛嬌があることから、心を掴まれた人もいるでしょう。
ワラスボのファンが、全国各地に誕生した…かもしれません!
実物を自分の目で見たい人は、ぜひ佐賀県に足を運んでみてください。
[文・構成/grape編集部]