これまでの臨時接種と大きく異なるのは、やはりワクチン接種が有料になることだろう。それに接種の対象も、65歳以上の高齢者と60歳から64歳までの重症化リスクの高い人に絞られる。つまり、それ以外の人は定期接種の対象外になるのだ。
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ワクチンの種類も増えるため、選択肢も広がる。対象となるワクチンは5つで製薬会社は5社になる。おなじみのファイザー、モデルナといったアメリカの製薬会社と、第一三共、Meiji Seikaファルマ、武田薬品といった日本の製薬会社だ。米国産か日本産か?という見方もできるが、注目すべきはワクチンの種類だ。
コロナウイルスのスパイクタンパクの遺伝情報を特殊な膜に包んで接種すると、体内でスパイクタンパクが産生され、それに対する抗体が作られて、免疫ができるという「mRNAワクチン」が4つ。残る1つは不活化ワクチンの一種で、B型肝炎ウイルスワクチンなど幅広く使用されている従来からある製法の「組み替えタンパクワクチン」だ。
このラインナップを見ても、コロナワクチンの製造において、今やmRNAワクチンが主流になっていることがよく理解できる。去年、その製法の開発がノーベル賞でも高い評価を受け「ノーベル医学生理学賞」を受賞したことは記憶に新しいし、コロナ禍のワクチンで日本人の8割が接種したのもこれだった。
このmRNAワクチンの次世代型と言われているワクチンがある。
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それが「レプリコンワクチン」(自己増殖型)で、mRNAワクチンの増殖力を増強し、体内でスパイクタンパクを増産し続けるように作られているという。
コロナ禍で国産ワクチンを供給的できなかった反省から、国も国産ワクチン製造に期待する中で、次のパンデミックに備えるためにようやく製造されたワクチン、それがレプリコンワクチンだ。世界に先駆けて日本で初めて認可され、今回の定期接種で初めて使用されることになった。アメリカで開発され、ベトナムで約1万6000人による大規模な治験が行われたレプリコンワクチン。開発国のアメリカより先に認可された背景は鋭意取材中だ。
ワクチン価格は1本1万5300円と言われているが、この内8300円は国が負担することになっている。残るは7000円になるが、あとは自治体の負担割合によって、自己負担額が決まってくる。例えば、名古屋市の場合は、3800円を接種する手技料として補助するため、自己負担額は3200円になる見込みだ。
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しかし、自己負担額がゼロの自治体もある。東京都渋谷区では、「利便性を高め接種のハードルを下げるため」との理由から、国の負担以外は渋谷区が負担するという。このように接種を促進する自治体がある一方で、接種を勧めない自治体もある。大阪府の泉大津市だ。こちらは、一転自治体は一切補助せず、住民の自己負担額は7000円になるという。泉大津市の南出賢一市長を直撃すると「副反応リスクがあるのに自治体が負担して接種を勧めることはできない」との回答が返ってきた。泉大津市は、これまでも南出市長が先頭に立って、長期にわたる副反応による体調不良で苦しむ人のケアを続けてきた。その経験から、ワクチンの補助を止める決断をした。この定期接種から、ワクチン接種への自治体のスタンスが異なってきているが、これも最初の接種から多くの時間が費やされ、様々な事実が浮かび上がってきたからだろうか。
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私はコロナワクチンに関して、接種がスタートした頃から3年半にわたり、追跡取材を重ねてきた。国は重症化を防ぐ効果があると胸を張っているし、医療機関にはワクチンの効果を実感している医師も多くいる。一方で、接種後に死亡したり、長期の体調不良に陥ってしまったりした人も数多く取材してきた。改めて、思うことはワクチンにはリスクも伴うということだ。定期接種の対象となる人には、このリスクも理解したうえで判断して欲しいと思わずにはいられない。
取材:大石邦彦(CBCテレビ解説委員 チャント!アンカーマン)