ペットと一緒にクルマでお出かけする際、ニオイや安全面での問題が気になります。どうすれば快適で安心なドライブを実現できるのでしょうか。
自家用車があると、電車やバスを使うよりも自由気ままに遠方へ出かけることが可能です。それはペットと一緒にお出かけする場合も同様でしょう。ただ、クルマだと、レンタカーも含めて車内のニオイや安全面での問題が気になります。どうすれば快適で安心なペットとのドライブを実現できるのでしょうか。
ネット通販をはじめとして、ペットショップやホームセンターの売り場を見ても、様々なペット用の芳香剤や消臭剤が販売されています。しかし、香りが強すぎる製品だと犬猫にとってストレスや車酔いの原因になることがあります。
それでも新車など特有のニオイが染みついているクルマの場合、基本的には、換気・掃除・除菌を徹底してニオイ対策を行いましょう。芳香剤や消臭剤をどうしても使用する場合は、ペットに対応した製品で安全な無香料の消臭剤を選ぶことが重要です。
「ペットと車でお出かけ、ニオイ対策バッチリ」←「それペットの…の画像はこちら >>ペットとクルマで出かける様子。写真はイメージ(画像:写真AC)。
なお、新車のニオイは揮発性有機化合物(VOC)が原因で、犬猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、新車購入後は、車内を拭き掃除し、1週間ほど換気を徹底することで、ニオイを効果的に軽減できます。
また、猫と犬では、ニオイの原因や外出時の注意点が異なります。それぞれに合った対応が必要です。
猫は環境の変化に非常に敏感です。不慣れな場所ではストレスを感じ、脱走や体調不良・粗相のリスクがあるため、不要不急の外出は控える「完全室内飼い」が推奨されています。
健康な猫は、毛づくろいで皮脂や汚れを取り除き、自身を清潔に保っています。また、猫の汗腺は鼻先と肉球のみのため、汗による体臭はほとんどありません。ただ、10頭以上の群管理を行う保護団体のような状況では、糞尿のニオイが課題になります。こういった場合は、布やプラスチック、床・壁に吸着したニオイ成分の原因除去が欠かせません。
ただし、一時的な乗車で猫のニオイが強く残ることは少ないです。もし車内に強いニオイが残る場合、以下の原因が考えられます。
1、口臭その他病気口臭や健康状態に気になる点がある場合は、健康に問題がないか早めにかかりつけの獣医に相談しましょう。
2、粗相・肛門腺パニックやストレスを与えないことが、粗相や肛門腺の分泌を防ぐために重要です。
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クルマの窓から顔を出す猫。写真はイメージ(画像:写真AC)。
では外出が必要な場合、どのような対策をすればよいのでしょうか。具体的には以下の3点が挙げられます。
1、洗濯ネットとキャリーケースの併用猫を洗濯ネットに入れ、ペットシートを敷いたキャリーケースに収容することで、安心感を与えながら粗相や脱走を防ぐことができます。また、毛の拡散防止にも効果的です。なお、老猫は振動で粗相をしやすいため、リュックではなく手持ちタイプのキャリーケースが推奨されます。
2、キャリーケースの補強養生テープで補強し、万が一の破損による脱走を防ぐと、より安全です。
3、温度管理夏は冷房・保冷剤を活用して直射日光を避け、冬は毛布を敷くなどして防寒対策を徹底しましょう。
では、犬の場合はどのような対策が必要なのでしょうか。
犬と暮らす中で、多くの飼い主が悩むのがニオイの問題です。特に、犬特有の体臭は適切な対策を取らないと、車内や室内に広がり不快感を招き、着ている服にまで臭いが染みついてしまうことがあります。
犬のニオイの主な原因は以下の3つです。
1、アポクリン腺からの体臭犬の全身に分布するアポクリン腺から分泌される汗が、空気中で酸化し、雑菌が繁殖することで独特の体臭を発生させます。特に、梅雨から夏の高温多湿の時期には、臭いが強くなる傾向があります。
2、口臭犬は歯垢が短期間で歯石化しやすく、これが口臭の原因となります。さらに放置すると、歯周病に進行し、強い悪臭を放つこともあります。
3、布製品への臭いの付着犬の体臭や口臭、さらには皮脂がソファ、カーペット、車のシートなどの布製品に吸着することで、これらのニオイが室内や車内に残り、不快感を増します。
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運転席に座る犬。写真はイメージ(画像:写真AC)。
犬のニオイに対する具体的な対策は以下の5点です。
1、月1~2回のシャンプー定期的なシャンプーで皮脂汚れを取り除き、清潔な状態を維持します。特に湿度が高い時期は頻度を上げると効果的です。
2、日常的な拭き取りケア蒸しタオルやペット用のシャンプータオルを使い、皮膚や被毛を拭き取ることで、体臭の元となる皮脂を軽減します。
3、洋服の着用老犬やシャンプーが苦手な場合には、服を着せることで体から発生する皮脂や毛が家具や車内に付着するのを防げます。
4、専用カバーやドライブボックスの活用専用カバーやドライブボックスを使用し、車内の汚れを防ぐのも効果的です。振動を軽減するほか事故時にも犬を守る役割を果たします。
5、十分な換気、こまめな車内清掃十分な換気を行い臭いが室内にこもらないようにします。また、粘着ローラーや掃除機を使用し、被毛や汚れを除去して清潔を維持します。
ニオイがどうしても取れない場合は、専門業者に依頼するのも一つの選択肢となるでしょう。専用機材を使うことで、家庭用の清掃では落としきれない布製品や車内に染みついた頑固なニオイをクリーニングすることができます。
猫や犬との車移動では、個々の特性や性格をしっかりと理解し、それに応じた事前準備が欠かせません。さらに、車内のニオイ対策として、日頃からの健康管理や飼養責任を果たし、換気や清掃をこまめに行うことが重要です。
また、ときには人間の都合でペットを外出させることの是非について立ち返って考えることも重要です。
ペットは環境の変化に敏感であり、外出がストレスや健康リスクにつながる場合もあります。外出が本当に必要なのか、そこから見直し、ペットの負担を最小限に抑える選択を心がけましょう。
ペットとのお出かけは、その子の気持ちや体調に寄り添って、安心できるタイミングと方法で楽しむことが大切です。