優秀な人材を確保するため、企業には初任給を引き上げる動きが広がっています。どれくらい上がったのか、何に使ったのか、2023年の初任給事情を取材しました。
名古屋市中区にある、発泡スチロールの製造・販売を行うアステックコーポレーション。全国6か所に工場があり、従業員はおよそ250人。2023年は大卒の新入社員を2人採用しました。
2人は現在、県外の工場で研修の真っ最中です。初めての給料は…。
岩手工場で研修中の吉村さん(22):
「(初任給を)20万円ほど」
熊本工場で研修中の尾本さん(23):
「今回、お給料を上げていただいたということで、個人的にありがたい、ラッキーだったと思っています」
4月の初任給は、2022年に比べて2万円アップ。
吉村さん:
「2万円だと結構大きな額なので、すごいありがたいですよね」
尾本さん:
「心の余裕ができるので、本当にありがたいなと思っています」
この会社では、初任給を2万円アップし20万円に。原材料費の高騰など厳しい環境ではありますが、積極的な価格転嫁を行うことで原資を作って実現しました。
アステックコーポレーションの加納会長:
「初任給を上げることによって、『この会社に入りたい』というモチベーションを上がってもらいたい」
人材確保のため行った初任給の引き上げ。厚生労働省の調査によると、1976年の大卒の初任給は男性が9万円台で女性が8万円台。バブル期を経て上がり続けましたが、90年代前半以降はほぼ横ばいに推移してきました。
民間のシンクタンクの調査では、2023年に初任給を「引き上げる」と答えた企業が4年ぶりに5割を超える状況に。人材確保を理由にあげる企業が多かったようです。
新入社員の2人に、初任給の使い道を聞きました。
吉村さん:
「妹が誕生日だったので、いい感じのものをあげたいなと思っています」
尾本さん:
「(GWで)実家に帰るタイミングで、家族みんなで食べられるようなお菓子とかを買っていけたらなと思っています」
貯金も考えていました。
尾本さん:
「毎月2万円くらい」
吉村さん:
「給料もらった時に、すぐ先に貯金3万円を。老後が心配とかありますよね」
物価の高騰もあり、将来への備えという堅実な意識がより高まっているようです。