何かに取り組む中で、自分自身の特徴に気が付いたという経験はありますか。
日常のふとしたことを通して、自己理解は深まっていくものです。
漫画家の、羊の目。(hitsujinome)さんは、『自分の特徴』をテーマにした作品を公開しました。
たかしくんと沙希ちゃんは、同じ小学校に通う同級生。
ある日、2人がいるクラスは、授業で自画像を描くことになりました。
絵を描くために、鏡越しに自分の顔をまじまじと見る沙希ちゃんは、あることが気になって…。
実は、沙希ちゃんは耳が聞こえません。
鏡に映った自分の顔を見て、『自分の声』がどんなものなのか、気になったのです。
そんなことを思いながら、沙希ちゃんが帰り道を歩いていると、たかしくんが合流してきました。
「沙希はいい声だぜ。たとえるなら…」と考え始めたものの、沙希ちゃんが慌てて止めに入ります。
沙希ちゃんの声が気になった、たかしくんが取った行動は
下校途中では沙希ちゃんに止められたものの、たかしくんは『沙希ちゃんの声』をどう伝えるか、家に帰ってからも悩んでいました。
すると、窓を開けた拍子に『ある表現』を思いつき、そのまま沙希ちゃんの家に電話をかけます。
電話に出たのは、沙希ちゃんのお母さん。たかしくんは、沙希ちゃんを連れて外に出てもらうよう伝えました。
「なんのこっちゃと思われるかもしれませんが」と前置きをして、沙希ちゃんにこう伝えてほしいと頼んだのです…。
「沙希の声は、この風によく似てる」
その日、たかしくんと沙希ちゃんが暮らす街には、とても優しくて、しなやかな風が吹いていました。
耳が聞こない沙希ちゃんでも、柔らかな風を肌で感じ、そこから自分の『声』をイメージすることができたのです。
沙希ちゃんは、嬉しさで胸がいっぱいになったのでした。
【ネットの声】
・漫画から音を聞くことはできないけど、たかしくんの表現を通して、私にも伝わりました。沙希ちゃんの声、優しいね。
・気持ちを言葉に表せる、たかしくんの感性の豊かさが素晴らしい。
・たかしくんの気持ちが本当に優しくて、大好きです。お昼休みに読んで、泣きそうになりました…!
直接的には言葉にできない感覚を、別のものにたとえて伝えることができた、たかしくん。
そのセンスは、たかしくん自身の優しさから生まれたものかもしれませんね。
[文・構成/grape編集部]