ズルい言い換え事典 第7回 キレている人には同調を! 落ち着くまで30分は聞き役に徹しよう

「お世辞感を出さずにうまくほめて相手の懐にはいりたいとき」
「自分の立ち位置を守るべく、肯定も否定もせずにその場をのりきりたいとき」

職場や家族、恋人、友人などの人間関係をなるべくストレスなく過ごすために、自分の求めている返答や行動を相手から引き出したい瞬間は多くあります。そのときにひとこと言い換えるだけで、相手を自在にあやつる言葉の言い回しのコツを紹介します。

実際に心理学者たちがおこなった心理学実験や、深層心理をもとに、その言い換えをすることでもたらす心理効果を解説。人間の思考のメカニズムも学ぶことができます。

思い通りに人を動かしたい人だけでなく、人にマイナスイメージをもたれたり、自分のもつキャラクターを傷つけたりすることを恐れる繊細な人が対人回避術として使用することもできる一冊『ズルい言い換え事典』から一部抜粋してご紹介します!
○キレた人には同調して落ち着かせるべし

怒り心頭に発している人を落ち着かせるにはどうすればいいのか? 多くの人が、その対処法に悩むポイントだ。キレた状態の人は、もはや冷静に判断する力を失い、心が暴走状態になっている。そんな人に「まぁ、落ち着きなよ」となだめようとしても逆効果。

落ち着かせようとしているのかもしれないが、相手からしたら話をさえぎろうとしているようにしか感じられない。キレている相手を落ち着かせるには、まず言いたいことを十分に言わせて共感してあげることが必要だ。

「そうか、それはムカつくよね」と、相手の気持ちに寄り添うことで、相手は共感してもらえていると認識し、落ち着いてく。それでも相手が激昂してまくし立ててきたら、すべての言葉をオウム返しのように繰り返して相手の言葉をのみ込むのが基本である。

○客観的な説明をされると怒りが鎮まる

時に、あなたにとってみたら明らかに「相手が間違っている」と思うこともあるかもしれない。それでもあえて否定せず、発言を認めてあげることが大切である。同調してもらえているとわかると、相手は次第に自分の怒りの理由を理解してもらえていると思い、少し落ち着きを取り戻す。落ち着いてきた段階で、相手の怒りの理由を聞き、客観的に説明することが大切。人は、自分の感情を客観的に説明されると、気持ちの昂りをセーブすることができるようになる。

また、このときにメモをとって聞き取りするのも効果的だ。「あなたの話をしっかり聞いてますよ」という無言のメッセージを感じ取って、相手も知らず知らずのうちに気をよくしてくれるだろう。それのみならず、メモを取りながら話を進める手法は、より多くの情報を引き出す効果が高い。これは「インタビュー効果」と呼ばれ、自意識が高まったり注目を浴びていることをより強く感じた相手は、「より正確で多くの情報を与えたい」と思うのだという。事件や事故の際、インタビューに応じている目撃者や関係者の心理状態が、まさにそれである。

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○『ズルい言い換え事典』(齊藤 勇監修/日本文芸社)
職場や家族、恋人、友人などの人間関係をなるべくストレスなく過ごすために、自分の求めている返答や行動を相手から引き出したい瞬間は多くありますが、そのときにひとこと言い換えるだけで、相手を自在にあやつる言葉の言い回しのコツを紹介。思い通りに人を動かしたい人だけでなく、人にマイナスイメージをもたれたり、自分のもつキャラクターを傷つけたりすることを恐れる繊細な人が対人回避術として使用することもできる一冊です。

齊藤 勇 さいとういさむ 立正大学名誉教授。日本ビジネス心理学会会長。主な著書・監修書に『思い込みで誤った情報を選択しないための必須教養 認知バイアス見るだけノート』、『思わずためしてみたくなる マンガ 心理学1年生』(ともに宝島社刊)、『イラスト& 図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)、『イラストレート心理学入門』(誠信書房)、『誰とでも会話が続く「相づち」のコツ』(文響社)などがある。 この監修者の記事一覧はこちら