琉球大学は30日、理学部の滝本大裕助教らの研究チームが世界最薄の「白金ナノシート」を開発したと発表した。厚さは0・5ナノメートル(ナノは10億分の1)。燃料電池などの媒体へ応用することで、低コスト化や発電性能の向上が見込めるという。研究チームは「付加価値の高い化学製品製造などへの応用も期待でき、コストの大幅減が狙える」としている。
現在、実用化されている燃料電池には直径5ナノメートル程度の白金ナノ粒子などが使用されているが、使用中にナノ粒子が肥大化し、性能が低下するなどの課題があった。今回、開発したシートは従来品より大幅に薄くすることに成功。高価な白金の使用量を減らせるほか、標準的な市販白金ナノ粒子と比べて発電性能や耐久性も2倍高いことも確認した。
将来的には、二酸化炭素を排出せず水素で走る燃料電池車(FCV)などの性能が飛躍的に向上する可能性があるという。
滝本助教は「FCVへの適用にはさらなる技術開発が必要となる。今後は自動車会社などと連携し、実用化に向けて取り組みたい」と話した。
研究の成果は国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。(社会部・下里潤)
(写図説明)世界最薄白金ナノシートの写真を指さし、「燃料電池の低コスト化が期待できる」と説明する滝本大裕助教=30日、西原町・琉球大学
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