「やっぱり起きたか」 自衛隊の元幹部が語る自衛官候補生と教官の関係性「今の若者は叱られた経験が少なく、それがストレスになっている」

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自衛隊の射撃場で起きた銃撃事件。自衛官の候補生と教官はどのような関係性なのか、自衛隊の元幹部に聞きました。まずはここまでにわかっている、18歳の男の供述から見ていきます。
CBC
捜査関係者によりますと、15日送検された18歳の男は取り調べに対し「殺意があった。52歳の教官を狙った。25歳の隊員については殺すつもりはなかった」という趣旨の供述をしています。
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亡くなった25歳の隊員・八代航佑さんを知る女性は、八代さんの人柄について「優しくておとなしいタイプで、後輩にガミガミ言うタイプではない」と話していました。
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「男は教官を狙った」と話していますが、自衛官候補生と教官の関係性というのはどういったものになるんでしょうか。
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その関係性というのが今回の事件解明の鍵を握っているのかもしれません。その関係とは一体どういうものなのか、様々な立場の方に話を伺いました。
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まずは、事件が起きた射撃場で実際に訓練を受けていた20代の元自衛官です。「今後の自衛官人生にとって(新隊員訓練というのは)規律などを守る大切な時期。教官は職務として、あえて厳しく接するため、その厳しさを少年がどう受け取ったか」と話しています。一般的に教官は本来の性格を変えて、職務として厳しく接しているということなんです。
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この元自衛官は現場で上官に対して新人隊員が歯向かう姿を見たことがないと言っています。「従うのが自衛官の規律だから」とも話していました。
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自衛隊の内部では、これまでにパワハラやセクハラが問題になってきた事実もあり、外からは見えづらいですよね。ただ、やはり一般的な職業以上の厳しさが求められる世界でもあるとは思うんですが、どうなんでしょうか。
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厳しさを少年がどう受け取ったのかという点なんですけれども「上官は指導のつもりだったけれど、相手にとっては、いじめと受け取られていたのではないか」そう語っていたのが元防衛大学校の准教授、色川喜美夫さんです。「やっぱり起きたかという印象。今の若者は昔と違い、叱られた経験が少なく、それがストレスになっている」と語っていました。色川さんが教室で学生に注意をしたら、ふてくされて立ち去ってしまったという経験が、何回かあったということです。
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この方にも伺いました、元自衛隊統合幕僚長の河野克俊さんです。「事件を防ぐためには、①兆候を見逃さない、②心情の把握、③厳格な検査」が重要であると。隊員に異変はないかを見逃さない、隊員としっかり話をして心情を把握する、そして銃を持つ前に心理テストなど厳格な検査をすべきではないかとも語っていました。今までは安全管理のために射撃訓練の場に上官がついていましたけれども、こうした事件が起きてしまったので、そういう意味では安全管理ではなく、こういう事件が起きるかもしれないと想定して上官がつかなければいけないのかもしれません。
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今回の事件は、防衛省にとっても大きな衝撃となっています。小野寺元防衛大臣が、自衛官の質について言及しています。「自衛官の質の確保はとても重要。採用に苦労していると聞いているが、処遇改善を含めて良い人材が採れるような自衛隊に(なるよう)考えていくべき」と。
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18歳の自衛官候補生の男、どんな背景があり、どんな心境で犯行に及んだのでしょうか。岐阜県警の協力のもと、自衛隊が捜査を行っています。