児童が版画で残した“新潟地震”… 震災の恐ろしさ・乗り越える力を表現「大変貴重な資料」

1964年に起きた新潟地震から6月16日で59年です。

学校は災害時、児童だけで帰宅するのが危険な場合、保護者に迎えに来てもらうケースも想定しています。

新潟市中央区の南万代小学校では16日、授業参観に来ていた保護者に児童を引き渡す手順が確認されました。

【保護者】
「実際やってみて流れが分かるので、こちらも安心して生活できる」

この南万代小学校には、新潟地震の様子を示す貴重な資料があります。

その資料とは“版画”。

【松村道子キャスター】
「この46枚の版画は、新潟地震の当時南万代小学校だった6年生の児童が制作したもの。それぞれに文章も添えられていて、当時の子どもたちが見たこと、感じたことが真っ直ぐに伝わってきます」

▽作品『昭和大橋』
「開通式を終えたばかりの昭和大橋。6月16日の大地震で4つにへし折れてしまった」

▽作品『ひなん』
「大地が割れ、火が襲い、水が襲う。街の中は逃げる人で溢れている」

避難する人々、姿を変えた町…。59年前の小学6年生が版画で残した新潟地震の光景。

南万代小学校は校舎が傾くほどの被害を受けましたが、当時の在校生1200人あまりは教師の誘導のもと、全員無事に避難することができました。

版画はおととしまで校長室などで保管されていましたが、去年、資料としての重要性が見直されました。

【南万代小学校 平山誠 校長】
「去年の総合学習で呼んだ防災士から『これは大変貴重な資料なので、きちんと金庫に補完するように』という指摘を受け、それからは大事に金庫に入れている」

版画の中には、地震後の生活の様子を捉えているものもあります。

【南万代小学校 平山誠 校長】
「自分たちがふだん当たり前のように飲んでいた水を自分たちで汲んで生活しないといけないという大変さが表れている。こういう版画に感動している」

日常を取り戻すために、子どもたちも汗を流していました。

信濃川に近いという立地条件から、日頃から「防災」を授業のテーマに積極的に取り入れている南万代小学校。

【南万代小学校 平山誠 校長】
「一番大切なことは、自分の命は自分で守るということ。何かあったときに、自分の頭で考えて、正しい判断をして逃げるような避難訓練を毎年実施している」

▽作品『あの時の地震』
「6月16日、私はきっとこの日を一生忘れないでしょう。流れ出る泥水、ぽかっと開いた地面、こんな恐ろしいものを私はあのとき、誰からでもなく見せつけられた」

59年前の子どもたちからのメッセージ。それは、災害を正しく恐れ、乗り越える力を伝えています。