お目当て商品探して「ダイソー」9店舗をはしご… 交通費がロスにならないケースとは?

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「ありゃ、残念。ここでも売ってないや」
ダイソーの売り場を巡るのはこの店で4店目。でもお目当ての商品は店頭に置いてありません。今回お伝えする経済学的視点は、わたしが趣味で集めている「眼鏡コレクション」の保管ケースを百円ショップで探していた時のエピソードです。
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いつもは10本ぐらいのお気に入りの眼鏡をローテーションして外出しているのですが、本当はそれ以外にも普段あまりかけていないけれどもかなりお洒落な眼鏡を40本くらい持っていて、それを使う機会はほとんどありません。
洋服でもそういったことはあると思いますが、結構もったいない話です。
「それだったら今年から毎日違う眼鏡をかけて、全部使うことにしよう」
と思い立ち、クローゼットの奥にしまい込んであった眼鏡を出してきて、それを入れるケースを探していたのです。
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たまたま東京・吉祥寺のダイソーで見つけて試しに1つ買った220円の「セクションケース」がぴったりの大きさでした。眼鏡が6本入るサイズでしかも蓋が透明なので中身は一目瞭然。本棚に縦にして置けば出し入れも簡単なので「今日はどの眼鏡にしようかな?」と選ぶのも楽なのです。
それを買い足すため週末、新宿に出かけたのです。新宿には3つのダイソーがあるのですが、最初に行ったお店のケースは形は同じですが蓋が不透明。念のためひとつ買い増しして次のお店へ。ところが他の2店舗には在庫なし。それで地下鉄に乗って中野坂上まで行って4軒目のダイソーに行ったのですがそこでも在庫はありません。
そのお店で鞄の中に入れておいた現物を店員さんに見てもらって、在庫がないか訊ねたところ、
「あぁ、この商品はメーカー在庫切れで、もう当分入ってこないんですよ」
という重要な情報をいただきました。
こういうときにどうしたらいいのか? 百均の商品は数日で売り場の商品が入れ替わるぐらい回転が速いものです。手に入れたいなら今すぐに動いたほうがいい。透明ケースの在庫が確実にあるのは吉祥寺のダイソー。だったら電車に乗って今すぐ動くべきです。
こうして電車を乗り継いで30分後に吉祥寺に到着。急いで最初に買ったお店に行ったのですが、店頭に残っていたのはなんとラス1。もちろんゲットしましたが、まだこれでは18本しか眼鏡を収納できません。
でも安心してください。吉祥寺にはまだ他に2店、ダイソーがあります。そう思ってはしごをしたところ、一店舗は空振りでしたが、ヨドバシカメラのビルに入っているダイソーでもう1個みつけました。でもまだ足りません。
そこでとぼとぼと帰るわけにはいかないと、帰路、中野駅で途中下車して中野のダイソーをチェックしましたが空振りでした。さらに執念でメトロ東西線に乗り換えて高田馬場に移動したところ、やりました。そこそこ在庫が残っているのを発見してそのお店で3個を追加購入しました。
結局、その日だけで延べ9店舗のダイソーを巡り、電車賃を1,070円払って、6つのケースをゲットしたことに。最初に買ったケース1個と合計して7個のケースに40本の眼鏡をしまうことができるようになりました。
さて、220円のプラスチックケースを6個買うのにほぼ半日かけて、電車賃を1,000円超払うという私のこの日の行動。経済的に意味があるのでしょうか?
実は意味があるのです。なぜなら気に入っている商品でかつ、もう当分手に入らない可能性が高い商品です。売価が220円というのはあくまでいつでも買えるという条件のときの価格であって、それが廃盤レアものになった段階では価格の価値は自分がきめればいいのです。
何しろわたしが普段使っているレギュラーの10本の眼鏡がはいったガラス張りのウッドボックスは9,000円もするんです。準レギュラーの眼鏡の皆さんが入るボックスは、たとえ電車賃を加えて計算してひとつ400円だと考えても、それでもまだ全然安い。経済価値はあくまで「自分にとって」という基準で自分が決めればいいのです。

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は電車に乗り継いでダイソーを何店もはしごしていく話。「経済的に見合わないだろう」って? …執念深い鈴木さんの理論はそうではありませんでした。