「人生の最期を住み慣れた場所で」 在宅医療推進へ団体発足 沖縄初の往診サポート態勢

在宅医療を推進する団体「OHS沖縄往診サポート」がこのほど、沖縄県読谷村に発足した。代表を務める西崎病院の新屋洋平医師は「人生の最期を、住み慣れた自宅や施設で過ごしたいという方の希望を支えていきたい」と意気込む。同様の団体は県内で初めて。(社会部・篠原知恵)
沖縄は今後、他都道府県の後を追う形で高齢化が本格化する。在宅医療のニーズはさらに高まるとみられるが、訪問診療を担う在宅医は特に本島中南部で不足し、受け皿が足りていない。患者の急変に備え、24時間態勢で往診に対応しなければならないことが一因にある。
OHSは昨年3月、県内各地の在宅医らで設立。所属する医療機関などの垣根を越えて在宅医が連携し、学会などで患者の急変に対応が難しい時間帯は、他の医師が応援で代診する仕組みを取り入れる。県や県医師会の協力も得て医師が交代で休むことができ、1人の医師が受け持つ患者の数を増やせるように取り組んでいる。
新屋医師は「コロナ禍で、医療機関や介護施設で家族との面会が制限されたことなどをきっかけに、最期まで住み慣れた場所で大切な人と過ごす時間を大事にしたいとの希望を持つ方が確実に増えた」と話す。高齢者など、病院への移動そのものが心身に負担をかけるケースも少なくない。「医療のサポートがあるなら自宅で、という声もあり、在宅医の連携強化に加え、在宅医を増やす必要性も強く感じる」という。
OHSは在宅医療の研修会にも力を入れる考えだ。県内は訪問看護ステーションが増加傾向にあるが、在宅で過ごす患者の日常生活を支える介護職は不足している。新屋医師は「医師に限らず、在宅医療に関わる専門職の連携を深め、沖縄に住む誰もが『最期は自宅で』との希望を口にできる社会を目指したい」と意気込んだ。

■4日と5日にフォーラム OHS沖縄往診サポートは4、5の両日、南風原町の県医師会館で「県在宅医療推進フォーラム2022」を開く。県医師会と勇美記念財団の共催。同フォーラムは全国各地で開催されているが、県内の開催は初めて。参加無料だが、現地参加は3日までに申し込み。オンラインでも視聴できる。詳細はこちらからhttps://wax2n.hp.peraichi.com/?fbclid=IwAR3Q9D_s4c8VhDIocKsxbLWMtrmM27FPhzXMbLyW-ub7UZFAniAlsYnzsHo

在宅医療の団体を立ち上げた新屋洋平医師=2日、南風原町・県医師会