日本国内を走行する、ほとんどのバスや電車に設けられている、優先席。
その名の通り、高齢者や妊娠中の人、障害のある人といった、座席を必要とする人たちを優先する、バリアフリー整備を目的としたスペースです。
車内ではたびたび「優先席を必要とする人がいた場合は、お譲りください」といったアナウンスも流れており、社会全体の思いやりある行動を推進していることが分かります。
南コーカサスにあるジョージアについての情報や、日本での暮らしについてSNSで発信し、インフルエンサーとしても注目を集める、駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバさん。
2023年6月18日、レジャバさんは自身のアカウントに、電車に揺られながら都心に向かう姿を動画で公開しました。
ラフな服装で電車の座席に腰掛け、優雅に読書をしながら移動の時間を過ごすレジャバさん。しかし、何気なく投稿した1本の動画をきっかけに、ネット上で議論が巻き起こっています。
レジャバさんが投稿した動画に対し、こういった指摘が複数寄せられたのです。
「どうして優先席に座っているんですか?」
そう、この時にレジャバさんが腰掛けていたのは、電車の優先席。
動画を見るに、レジャバさんの隣の席は空いているため、優先席を必要とする人が周囲にいたわけではないのでしょう。
しかし、動画を見た人からは批判や指摘の声が寄せられたようです。そういった声を受け、レジャバさんは「空いている優先席に座ることは問題ありません」とコメント。
続いて、「理屈のない不要な圧力は、生きづらい社会につながる。必要とする人が来た時に、率先して譲る精神が大事である」と説きました。
レジャバさんの投稿を発端に、ネット上では『健常者が空席の優先席に座るのはアリか』という議論が勃発。
賛否両方の意見が投稿され、レジャバさんの動画は、多くの人が優先席について改めて考えるきっかけになりました。
【肯定的な意見】
・『優先』という言葉の意味が分からないのか?『専用』じゃないから、ちゃんと譲れば問題ない。
・空いているなら座っても問題はないだろう。特に、混んでいる場合は座らないほうが迷惑になる。
・専用席ならともかく、自分も優先席には普通に座ります。もちろん、絶対に譲るという意思を持って。
【否定的な意見】
・当事者以外には分からないだろうけど、すでに座っている人がいると「譲ってくれ」っていいづらいんだよ…。
・先に座っている人がいたら、優先席が必要な人がいても「どうせ譲ってもらえない」と思って近付けないよ。
・自分は優先席を必要とする当事者ですが、譲ってくれる人は全然いません。だからこそ、できれば空けておいてほしい…。
前述したように、優先席はあくまでも『必要とする人を優先する席』であり、「健常者以外が利用してはならない」というルールや強制力はありません。
とはいえ、優先席を必要とする人の中には、視覚的に分からない症状を持っている人もいます。すでに座っている人がいたら、声をかけづらいと思う気持ちも十分に理解できるでしょう。
レジャバさんがいうように、「必要とする人が来た時に率先して譲る」という姿勢は社会全体に必要。加えて、もし混雑してきた際は、自ら席を空けるといった思いやりある行動がとれるとベストですね。
[文・構成/grape編集部]