「旅客機の席は座るものって誰が言った?」 かつて話題となった“究極の詰め込み型座席”とは

先端技術を用いた座席などを展示することから、通常の旅客機では考えられない斬新なコンセプトのものが披露される「航空機インテリアエキスポ」。ここではかつて、「立ち席」が大きな脚光を浴びたことがあります。
2023年6月9日までドイツで開催されていた「航空機インテリアエキスポ」。平時であればこの展示会は、ほぼ毎年開催で、先端技術を用いた座席や客室のインテリア、機内エンターテインメントなどが展示されています。そういった趣旨ゆえ、なかには、現代の旅客機の客室仕様とは全く異なったコンセプトが用いられているものも存在します。
「旅客機の席は座るものって誰が言った?」 かつて話題となった…の画像はこちら >>アビオインテリア「スカイライダー3.0」(画像:Aviointeriors)。
たとえば、2023年開催の航空機インテリアエキスポで世界的に脚光を浴びたのが、座席を2段式にすることで、乗客の足元の面積増大やリクライニング角度増加を図ったエコノミークラス席や、一般的なビジネスクラスよりもシートが斜め向きに設置した単通路旅客機向けのビジネスクラス席などです。
しかし、過去には先述の例より衝撃度の高い座席がこの展示会に出現したことがあります。それが、イタリアのシートメーカー「アビオインテリア(Aviointeriors)」が展示した「スカイライダー(Skyrider)」シリーズです。
この「スカイライダー」のコンセプトをひとことでいうと、“立ち座り席”です。腰掛ける部分はあるものの、背もたれと座面の角度は浅く、座面も立ち姿勢を想定した形状に。着座体制はほぼ立っている状態となります。
「スカイライダー」はおもに短距離LCC(格安航空会社)むけに開発されました。立ち席とすることで前後間隔を狭め、1回のフライトにより多くの旅客を乗せることを目指すもので、最大で20%座席を多くできるとのこと。また、シート自体の重量も一般的な普通席の半分と、軽量化が計られているほか、メンテナンスコストも抑えられるとしています。
この席の実装で収容力を向上させ、より航空券の値段を下げることができ、「現在航空券を購入できる余裕がない方々にも、搭乗してもらえる可能性を提供できる」というのを同社はアピールしていました。
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「航空機インテリアエキスポ」2023アビオインテリア出展の様子(画像:Aviointeriors)。
ただ、この「スカイライダー」は2019年に「スカイライダー3.0(Skyrider3.0)」を発表したきり、大きな動きはないようです。なお、アビオインテリアは2023年の航空機インテリアエキスポにも出展していますが、そのなかに「スカイライダー」の展示は確認できていません。