山深い飛騨高山“初の東京直通”から25年 未完の「中部縦貫道」 激セマ山道が解消される日は

今でも凄腕テクでバスは山道を駆け抜けています。
岐阜県高山市を拠点とする濃飛バス(濃飛乗合自動車)が2023年6月24日(土)から、会社創立80周年と高速バス新宿線開業25周年を記念したデザインバスの運行を開始します。
山深い飛騨高山“初の東京直通”から25年 未完の「中部縦貫道…の画像はこちら >>国道158号をいく高速バス高山~新宿線(乗りものニュース編集部撮影)。
京王バスと共同運行する高速バス高山~新宿線は1998(平成10)年、標高1373mを貫く安房トンネルを中心とした「安房峠道路」が前年12月に開通したことを受けてデビューしました。同道路は中部縦貫道の一部です。
それまで安房峠は冬季に閉鎖され、長野県側との行き来ができなくなりましたが、通年で通行が可能となったことを受け、飛騨高山初の東京直通の交通手段として高速バスが開業。いまではインバウンドの利用も多く、地域に欠かすことのできない路線となっています。
なお、濃飛バスの記念デザイン車は新車に施工。飛騨の美しい山並みのイメージをベースに、「高山のまつり屋台」と「さるぼぼ」をあしらったものだそうです。
新宿線は濃飛バス初の高速バス参入となりましたが、いまでは大阪、名古屋、金沢、富山などへ路線を拡げています。その間、中部縦貫道の一部である高山清見道路の開通、東海北陸道の全線開通など、道路ネットワークが大きく進展しました。
しかし、長野方面へ通じる国道158号はいまだ狭く、つづら折りのカーブを新宿線の高速バスが駆け抜けています。この高山~松本間は、中部縦貫道の整備が最も遅れている区間です。
現在は高山清見道路を高山市街から旧丹生川まで延伸させる工事が進んでいるほか、その先、安房峠道路へ通じる日面(ひよも)~平湯区間も、2023年に“全線バイパス案”として整備する方針が固まったばかり。長野県側では、松本の平野部から長野道まで「松本波田道路」の建設が進んでいますが、その中間、岐阜県境から松本の平野部までの区間は事業化すらしていません。
別途、山道の一部区間で、大型車がすれ違えないトンネルを別線で迂回する「奈川度改良」の事業が進んでいますが、これは中部縦貫道とは異なります。
高速バス新宿線の所要時間はおよそ5時間45分。うち、安房峠道路に近い平湯温泉と、次の中央道八王子の間で4時近くを要しています。一般道による山越えが解消される目途は立っていません。