「なんとなく使ってた」「え、意外と…」 高層ビルといえるのは〇〇が分かれ目?

商業施設やホテルなどの高い建物のことを指す、『高層ビル』や『超高層ビル』という言葉。
住居用であれば『高層マンション』、あまりにも高いものは『タワーマンション』という呼称が一般的でしょう。
では、『高層ビル』や『超高層ビル』は、どの高さからこのように呼ぶのか、気になった経験はありませんか。
実は『法的には〇〇な建物を高層ビルという』といった明確な定義はありません。
ただし、建築物の基準について示した『建築基準法』や『消防法』の規定を援用して高さの区分はされています。
『建築基準法』や『消防法』などの法的な規定は、高さが31m、60m、100mという区分でより厳しい基準が適用されます。建物が倒れたら大変なことになるので当然でしょう。
この高さ規制を用いて、31mを超える建築物は高層建築物と呼ばれます。31mの建造物は、およそ10階建てに相当し、一般的には『高層ビル』、『高層マンション』と呼んでもOKとされています。
※写真はイメージ
なぜ31mという半端な数字になっているかというと、以前は日本古来の計量法である尺貫法(しゃっかんほう)を用いていたからです。
1919年に制定された『市街地建築物法』には「建物の高さは百尺まで(百尺規制)」という規定があって、この百尺が30.303mになります。
そのため、この規制が撤廃された時に、『31mを超える建物は高層建築物』という規定が作られたというわけです。
簡単にいえば、10階建て以上なら高層建築物、つまり『高層ビル』と呼んでも、おおむね間違いではないと理解しておけばいいでしょう。
『高層ビル』と同様に、『超高層ビル』という名称にも明確な定義はありません。
ただ、日本で『超高層ビル』という呼び名が付けられたのは、東京都千代田区にある『霞が関ビルディング』が初めてです。
同ビルは高さ147m、地上36階、地下3階建てで、日本における『超高層ビル』の草分け的存在といえます。
1968年4月に竣工した同ビルは、建設の様子が描かれた『超高層のあけぼの』という映画が製作・公開されるほどに、日本中の注目を集めました。
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では、『超高層ビル』、あるいは『超高層建築物』の一般的な定義はないのかというと、『高層ビル』と同じく法的な区分を援用して呼ばれます。
例えば『タワーマンション』。最近では超高層ビルに匹敵する高さのマンションがありますよね。
『建築基準法』20条1項一号を参考にしてみると、20階以上の超高層マンションを一般的にタワーマンションと呼ぶことができるようです。
20条では『構造耐力』について規定しており、1項第一号では『60mを超える建物』については、60m以下の建物と明確に区分されて基準が設けられています。
60mは20階建てに相当するので、20階以上のマンションは一般的にタワーマンションと呼ばれるのです。
そのため、60mを超える建物は超高層建築物、つまり『超高層ビル』と呼んでも問題ないでしょう。
まとめてみると、『高層ビル』は31mを超える、おおよそ10階建て以上の建物。『超高層ビル』は60mを超える、おおよそ20階建て以上の建物となります。
違いが分かると、都会のビル群を見上げてみるもの面白いかもしれませんね!
[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]