川淵三郎氏、30年間の全仕事と言葉を網羅「キャプテン!」30日発売…栗山英樹監督との緊急特別対談も収録

日本初のプロサッカーリーグ・Jリーグを立ち上げ、バスケットボール界も大改革、Bリーグを創設するなど日本のスポーツの歴史を大きく変えた川淵三郎氏(86)の「全仕事」を追った「キャプテン! 日本のスポーツ界を変えた男の全仕事」(ベースボール・マガジン社刊、1870円)が30日発売される。巻頭には侍ジャパン・栗山英樹監督(62)との特別対談も収録された一冊には、川淵氏の「仕事」にかけた命がけの情熱のすべてが詰まっている。(中村 健吾)
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巻頭の川淵氏の「私にとって最後の著作になると思います」という重い言葉から始まる分厚い一冊には、Jリーグ・チェアマン、日本サッカー協会会長(キャプテン)、Bリーグを設立、日本バスケットボール協会会長、さらには記憶に新しい東京五輪・パラリンピック選手村村長と、この30年間、日本のスポーツ界のトップを駆け抜けてきた大物中の大物の「仕事」のすべてが詰まっている。
過去、「虹をむ」(06年、講談社刊)を始め同氏の自伝は複数出版されているが、今回の「キャプテン!」は1章のJリーグ設立から最終章の離島のサッカー場作りまで、川淵氏自身が手がけてきた大小様々なスポーツプロジェクトに焦点を絞っている。
同氏と仕事をするなど縁(ゆかり)のある人々に、今作の構成にあたったスポーツライター・増島みどり氏がインタビュー。早大、古河電工の後輩で元日本代表監督・岡田武史氏、日本バドミントン協会の会長に就任した村井満・前Jリーグチェアマン、森保一・日本代表監督、バスケットボールの田臥勇太、さらに川淵氏の初孫まで、ジャンルを横断した26人が次々と登場。スポーツ界の巨人の素顔と日本スポーツ界への貢献について様々な角度から光が当たる。
織物に例えるなら、歴史という「経糸(たていと)」に、証言者たちが「緯糸(よこいと)」となって、従来の自伝とは異なる新しい模様を編み出したかのような一冊。「キャプテン」の名付け親の1人で、2002年当時、川淵番だった「スポーツ報知」竹内達朗記者の原稿も掲載された。
目玉中の目玉が冒頭、28ページに渡って収録されたWBC日本代表・栗山英樹監督との特別対談。93年のJリーグ発足時にはテレビのスポーツキャスターだった栗山氏が川淵チェアマン(当時)を取材した際の記憶から始まる対談は侍ジャパンの世界一の熱狂真っ只中の4月に緊急企画されたもの。90分間に渡った対談では、野球とサッカーの今後など、情熱と先見性に富んだ会話が展開されていく。
今回、単なる人生回顧録ではなく「仕事」に焦点を絞った1冊には、ビッグビジネス成功へのヒントも数多く散りばめられている。
◆川淵三郎「キャプテン!」出版記念イベント
今回の出版にあたり、川淵氏は29日午後6時から東京・紀伊國屋ホールで特別講演会を開催。Jリーグ、日本サッカー協会、バスケットボール界など自らの行動力で周囲を動かし、スポーツ史を変えてきた「キャプテン」が日本スポーツ界改革の歩みを語る形となる。