6月27日、母親の自殺を助けたとして自殺ほう助の疑いで歌舞伎俳優の市川猿之助(本名、喜熨斗孝彦)容疑者(47)が警視庁に逮捕された。逮捕後、猿之助容疑者の身柄は捜査本部の置かれた目黒署にあったが、原宿署へと移送された。また、目黒区自由ケ丘のマンションで大麻を所持していたとして大麻取締法違反容疑で逮捕された永山絢斗容疑者(34)や、今年3月に六本木のホテルで合成麻薬MDMAを所持していたとして麻薬特例法違反容疑で逮捕された(※のちに処分保留で釈放)道端ジェシカ(38)など、逮捕された場所の管轄外の原宿署へと移送される芸能人は跡を絶たない。その理由を探った。
「また原宿署か…」6月27日逮捕された猿之助容疑者の身柄は捜査本部の置かれた目黒署から夜間になって後部座席にカーテンが引かれた車で原宿署へと移送された。なぜ、芸能人は原宿署に多く留置されるのか。
原宿署(撮影/集英社オンライン)
捜査関係者が説明する。「原宿署には警視庁本部が管轄する留置所がある。そうした理由から、警視庁本部が捜査する社会的に影響力の大きい芸能人などの案件の場合、捜査本部の置かれた場所ではなく原宿署に留置するケースが多い」09年に現在の場所へと移転した原宿署は他の警察署に比べて比較的設備も新しく、「女性専用の留置所も設置している」(同前)ことなども(道端のような)女性芸能人が原宿署へと留置される理由の一つだという。さらには、世間の耳目を集める芸能人が逮捕された場合、「(逮捕された側、当局側の)マスコミ対策、防衛という意味合いも大きい」と警視庁担当記者が補足する。「道端の釈放時には約100人、永山の逮捕時には約50人の報道陣が原宿署に押し寄せました。ですが原宿署は地下に駐車場があるため、フルスモークや容疑者が乗る後部座席にカーテンの引かれた車両で出入りされてしまうと、ほとんど姿が捉えられないんです。そうした設備的な理由から、社会的に影響力が大きい芸能人などは本人や事務所側などの意向を受け、原宿署へと留置する場合もあるようです」
道端ジェシカ(本人フェイスブックより)
上記のような理由で原宿署に留置される芸能人は多いというが、同様の理由で多数の芸能人、著名人が留置されてきたのが警視庁湾岸署だ。08年に新設された湾岸署も原宿署同様、施設が新しく、女性留置所も完備されている。新設翌年の09年には、覚醒剤取締法違反事件の酒井法子が湾岸署に留置され、他にも小向美奈子、沢尻エリカ、ピエール瀧など薬物事犯を起こした錚々たる面々が湾岸署に留置されてきた。「湾岸署は駅から離れた場所にあり、周辺施設も少ないため、近隣住民への配慮も踏まえると、報道陣やヤジ馬が集まると想定される芸能人の留置に適している。そのほか、薬物事犯を起こした芸能人が湾岸署に多く留置されてきたのも特徴的だが、ピエール瀧のように留置施設を所有していない法務省の麻薬取締部(通称・マトリ)が摘発した案件の場合、湾岸署に留置せざるを得ない場合もある」(前出の捜査関係者)
マスコミ対策、近隣住民への配慮、マトリ案件etc……。こうした様々な事情から原宿署、湾岸署に留置される芸能人・有名人は多いようだ。取材文・集英社オンライン編集部ニュース班