何度もあった“幼い命を救う機会”…4歳娘への傷害致死容疑で母親逮捕の事件 児相は1年以上親子と会わず

三重県津市の自宅で4歳の娘を暴行し死亡させたとして、29日に42歳の母親が逮捕されました。児童相談所は保育園から通報を受けていましたが、事件の1年以上前から親子に直接会う形での確認をしていませんでした。 娘への傷害致死の疑いで30日に送検された、津市の工場従業員・中林りゑ子容疑者(42)。
5月22日頃、津市久居野村町の自宅で、三女のほのかちゃん(4)を高さ30センチほどのテーブルの上から転倒させ、死亡させた疑いが持たれています。
事件が発覚したきっかけは、5月25日夜に中林容疑者が消防へした通報でした。<中林容疑者>「子供が食べ物を喉に詰まらせた。除去したけど呼吸が弱々しい」 この通報があったのは、ほのかちゃんがテーブルから転倒した3日後。ほのかちゃんは救急搬送されましたが、翌日に死亡しました。死因は頭に衝撃を受けた際に起きる急性硬膜下血腫でした。近所の住民:「子供が救急車に乗っていて、その前に家族がいた。見ていてどうしたんだろうと思って。その次の次の日に警察の方が来て」 搬送先の病院は虐待を疑い、警察へ通報。警察の司法解剖の結果、額や後頭部など体の複数の場所に皮下出血が確認されました。
しかし、通報で中林容疑者が説明した「食べ物を喉に詰まらせた」ような痕跡はありませんでした。近所の住民:「(中林容疑者は)普通の感じでしたけどね。怖いとかのイメージはないですし。家族はみんな仲良さそうに見えましたので」 シングルマザーで、娘3人と仲良く暮らす姿が目撃されていた中林容疑者ですが、異なる一面もあったようです。近所の住民:「女の子だけ何度か車の中で放置されていた。2~3年前から小さい子供の泣き声が一日中聞こえたりしたから、おかしいなとは思ったんやけども。児相に相談した方がいいかな、でも他人の家のことやしって…」 近所の人も異変に気づいていた家庭。県の児童相談所も、ほのかちゃんが幼い頃から介入していました。児童相談センターの所長:「シングルマザーですので、仕事をしないと生活していけない、赤ちゃんがいると仕事に行けない、赤ちゃんを見てくれる人もいないという状況がありまして、そういった理由で関わりが始まった」 2019年2月、生まれて間もないほのかちゃんは、児童相談所に一時保護され、乳児院で過ごすことに。 その後、中林容疑者が養育を希望したため、虐待などの異変に気付きやすい保育所へ通わせることなどを条件に2021年3月、ほのかちゃんは自宅に戻りました。
的確な対応がなされていたとみられますが、幼い命を救う機会は何度も見過ごされることになります。<保育園からの虐待通告>「両頬と両耳にあざがある」 ほのかちゃんが自宅に戻った11カ月後の2022年2月、あざがあることに気づいた保育園が児童相談所へ通報しました。児童相談所の聞き取りに対し林容疑者は、こう答えたといいます。児童相談センター児童相談強化支援室の室長:「母親は『ベッドから落ちておもちゃ箱に顔を突っ込んだ』というような説明をされておりました。家庭の中で子供がケガをすることがないように、しっかりと注意を払ってくださいという話をさせていただいて、『わかりました』と」 結局、あざの原因は特定できず。中林容疑者が児童相談所の指導に応じる姿勢を見せたため、ほのかちゃんの保護には至りませんでした。
児童相談所は定期的に保育園などから様子を聞き取っていましたが、保育園から通報があった2022年2月以降、1年以上にわたって、ほのかちゃんに直接会って確認することはありませんでした。
ほのかちゃんは2022年7月から保育園を欠席していました。登園を促す保育園に対し、中林容疑者は…。<中林容疑者>「保育園が児童相談所に虐待の通告をしたから、園に行かせづらい」 児童相談所に、直接会って確認をしなかった理由を聞きました。児童相談センターの所長:「自分が虐待を疑われていることがお母さんにとってかなりショックなことだったので、母親が望まない形で強い介入をすることはちょっと避けていたということはあります。直に児相の職員が見ることはしてないんですけれども、周辺で異常がなかったのでよしとしていた」 なぜ幼い命を救うことができなかったのか。県は第三者委員会で、対応に問題がなかったか検証する方針です。