埼玉県発祥「日高屋」成功の秘訣を創業者に聞いてきた

「熱烈中華食堂日高屋」を運営するハイデイ日高は、2月に創業50周年を迎えた。これに伴い、3月1日から日高屋全店にて創業50周年記念期間限定メニュー「日高ちゃんぽん」を発売する。

創業者で、代表取締役会長である神田正氏は、「1人で始めて、あっという間に50年が経ちました。間もなく82歳になるが、こんなに長くラーメンに携わるとは驚き」と喜びを語った。

神田氏は埼玉県日高町(現・日高市)生まれ。父親を早くに亡くしたこともあり経済的に苦しかったそうだが、「貧乏は自分の人生に大きな宝となった」と語る。家計を支えるため中学卒業後に社会人となったものの、どの仕事も続かなかった。社員として就職した会社はあったものの、すぐに辞めてしまったそうだ。

無職となり大宮でパチンコをしていた頃、友人に「ラーメン屋でもやらないか」と誘われたのがラーメンに携わるようになったきっかけ。「たまたま始めた仕事なので、ラーメンの神様には怒られるかもしれない」と苦笑する。

これまでどの仕事も続かなかったのに、中華鍋を振り餃子を焼くことは向いていたようで、さらにそのビジネスモデルにも魅力を感じたという。「朝仕入れた食材が夜には現金に変わっている。だけど仕入れた食材の支払いは1カ月後。この商売はいいなと感じました。お金が先に入るのに支払いは後からなので、金策に苦労しないのもよかった」と当時を振り返る。

その後、屋台や別のラーメン屋での勤務を経て、ついに独立。独立も自分の意思ではなく「出資するから岩槻でラーメン屋をやらないか?」と声をかけてくれた人との出会いがきっかけだ。その後の展開について神田氏は、「弟と、妹の夫ものちに合流し、始めた店がターニングポイントでした。その後大宮に場所を移し、弟と妹の夫が共に独立するタイミングでチェーン展開を進めていったのが今の日高屋です」と話す。

現在400店舗以上にまで拡大した成功の秘訣は何だったのだろうか? その理由は「時代の流れを読むことに成功したから」。

「大宮の駅前には当時、屋台が多く出店されていたものの、道路交通法違反な上に衛生面でも保健所がいずれ摘発することは目に見えていました。屋台がなくなったら客はどこに行くのだろう? 行き場を失った客を集めることができるのでは? と考え、駅前に集中して出店していました。屋台に合わせて深夜まで、時には朝まで営業しました。その結果多くの集客に成功したのです」

神田氏はそんな「ハイデイ日高のこれまでの50年」を漢字に表して「情」、代表取締役社長の青野敬成氏は「ハイデイ日高のこれからの50年」として「人」を掲げた。

その意図について、神田氏が込めた想いは「情熱だけはある! 情熱=やる気=希望さえあればなんとかなる」。そして青野氏は「人があって様々な人に助けられてここまで400店舗を達成することができた。人なくして外食産業は続けることができないから」と話した。
○創業50周年記念メニュー「日高ちゃんぽん」が最高だった

創業50周年記念期間限定メニューとして、3月1日からは「日高ちゃんぽん」が期間限定で発売される。

なぜ創業50周年記念期間限定メニューにちゃんぽんなのだろうか? この理由は2つある。

まずは、創業時にはハイデイ日高の歴史の始まりである、中華鍋を使用したメニューの多い「来来軒」と、その後の展開を広げたラーメン中心の業態「ラーメン館」の間をとった業態=ちゃんぽんして(混ざり合って)誕生したのが「日高屋」ということ。そして「日高屋」は老若男女問わず、食事をする人とお酒を楽しむ人が一緒に来店できること。この2つの意味を込めて「日高屋でちゃんぽん」をキャッチフレーズに50年の歴史の中で初めて魚介系とんこつスープに挑戦した。

とんこつベースに魚介系の旨味が味わえるスープ、そして麺は日高屋オリジナルの喜多方風の太麺を使用。具材には豚肉、キャベツ、白菜、玉ねぎ、にんじん、ブロッコリー、エビ、イカ、おさり、かまぼことかなりボリューム感がある。

別売りのトッピング「秘伝の辛味噌」(50円)を追加することで味変を楽しめるので、ピリ辛が好きな方にはおすすめしたい。

食べてみると、驚くほどに野菜が甘い。海鮮は贅沢にたくさん入っており、濃厚な旨味と絡み合って無限に食べられそうな勢い。別売りのトッピング「秘伝の辛味噌」で味変をするとかなり辛くなるが、不思議と海鮮の旨味をより引き出してくれるので、辛いものが好きな人はぜひ試してみてほしい。

日高屋では50周年キャンペーンとして、1年を通して今後も様々な50円引きや復刻メニューも予定している。3月1日からは日高屋全店にて期間限定で、「冷凍生餃子5人前標準30個入り」を50円引き(定価税込700円→650円)を実施する。50周年の今年は店舗での飲食でもテイクアウトでも、さらにお得に日高屋を楽しめそうだ。

松本果歩 まつもとかほ 恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter: @KA_HO_MA この著者の記事一覧はこちら