ビズヒッツが運営するビジネス上の問題解決を考えるメディア「Biz Hits」は、転職経験がある20代の男女173人(女性118人/男性55人)を対象に「20代の転職に役立つ資格に関する意識調査」を実施し、そのデータをランキング化した。同調査は2022年9月27日~10月13日、インターネットによる任意回答にて行った。
転職にあたり「資格を取ったほうが有利かな」と考えている20代の若手社会人も多いだろう。確かに資格があれば応募できる求人の幅が広がり、無資格のライバルに差をつけられる。
しかし世の中にはたくさんの資格があり、「どの資格が有利になるのだろう」と迷ってしまう。そこで今回、「20代の転職に役立つ資格」についてアンケート調査を実施。さて、どんなランキングとなっただろうか。
転職経験がある20代の男女173人に「転職する際に役立った資格」を聞いたところ、1位は「簿記(30人)」だった。2位「英検・TOEIC(12人)」、3位「普通運転免許(11人)」と続く。
「簿記」「語学」「OAスキル」など、事務系職種で役立ちそうな資格が多くランクイン。事務は人気職種のため、資格があるとライバルに差をつけられそうだ。
また医療・福祉など、人手不足の業界で働くのに役立つ資格も多くランクインしている。
○<1位 簿記>
・求人の優遇条件だった(25歳 男性)
・未経験でも、資格があったことで面接までたどり着けた(27歳 女性)
・転職の幅がひろがった(29歳 男性)
簿記2級以上をもっていれば実務未経験でも優遇する、という求人は多い。実際に「簿記の資格をもっていたから未経験でも事務系・経理系の職種に応募できた」という声もあった。
また簿記資格があると「コスト意識がある」「会社の仕組みを理解している」と思われやすく、良い印象を残せる。
○<2位 英検・TOEIC>
・英検2級。「簡単な英語が読める」ことが優遇条件であったため、役に立ちました(25歳 女性)
・TOEIC895点。転職先では英語を使う機会が少なかったものの、留学経験なしの独学だったことと、スコア自体を評価してもらえた(26歳 女性)
・英検準1級。会社の公用語が英語であったため(28歳 男性)
英語を日常的に使う職場であれば、英語力は必須となる。また、英語の能力レベルによって「配属先が広がる」「優遇される」というケースも多いことだろう。
仕事では英語を使わなくても、「能力が高い」「目標に向かって努力できる」と評価されることもあるようだ。
○<3位 普通運転免許>
・1日中車で行動する仕事のため、必須だった(21歳 男性)
・車を使った営業だったため(27歳 女性)
・普通自動車免許が必須の求人が多くあった(29歳 男性)
営業職や「関係機関に車で移動することが多い職種」では、車の運転免許が必要となる。「要普免」と書かれている求人も多い。また運送業などでは、大型免許や牽引免許を持っていると有利になるだろう。
○<4位 OA系の資格>
・MOSが応募の必須資格だった(23歳 女性)
・事務職への転職だったので、ワードが使えると証明できて役立った(26歳 女性)
・事務の仕事でスキルが必要だったから(29歳 男性)
具体的には「MOS(Microsoft Office Specialist)」やワープロ検定など。
「前職でパソコンを使っていました」といっても、どれくらいのスキルがあるのか証明するのは難しいもの。しかしOAスキル関連の資格を取得していれば、客観的にスキルを証明できる。
商業高校や情報系の高校に通う生徒は、授業の一環でOA系資格を取得することも多い。
○<同率4位 介護系の資格>
・ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)。介護の仕事に応募するとき、無資格より採用率が上がるから(24歳 女性)
・国家資格である介護福祉士は、自分の経験年数を示せて便利だった(27歳 女性)
・ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)。給与面でプラスになった(29歳 男性)
介護職は無資格でも挑戦しやすい仕事だが、資格があるとより採用されやすくなる。また資格手当が出るため、給与面でもプラスに。
「介護職員初任者研修」は比較的簡単に取得できるので、介護業界に転職するなら取得しておいて損はないだろう。
<6位 医療系専門職の国家資格>
・看護師。国家資格があるだけで、さまざまな転職先を選べた(25歳 女性)
・診療放射線技師免許。専用の転職サイトがあるため仕事を探しやすい。限定的な仕事ではあるが、確実に仕事を見つけられる(28歳 女性)
医療系専門職は人手不足と言われており、資格があれば仕事を見つけやすいのがメリット。ただ資格取得のためには、専門学校などに通ってから試験を受ける必要がある。
社会人があらためて資格取得するにはややハードルが高いものの、取得さえすればかなり使える資格だといえるだろう。
○<同率6位 保育士>
・保育士資格を持っていれば、子ども関連の求人がかなりの数ありました(26歳 女性)
・転勤族の妻だが、転勤先でも仕事が決まるためありがたい。雇用形態も選びやすい(28歳 女性)
保育士も人手不足と言われており、資格があれば仕事を見つけやすくなっている。保育園以外でも、幼児教室や学童保育などで資格が生かせることだろう。
資格なしで働ける「保育補助」もあるが、求人数が少なく給与も低くなってしまうため、やはり保育士資格があると有利だ。
保育系の学校に通っていなくても、通信教育などで勉強して保育士試験に合格すれば資格が取得できる。
次に、男女別・20代の転職に役立つ資格についてみてみよう。実は、「男性だけにおすすめ」「女性だけにおすすめ」という資格は存在しない。
ただ「男性が多い業種・職種」「女性に人気の業種・職種」が違うため、実際には役立つ資格に男女差が出ることもある。
アンケートからわかった男女別「20代の転職におすすめの資格」は下記のとおり。
女性では「事務系職種で活かせる資格」に加え、「医療・福祉系の資格」が多くなっている。医療・福祉系の資格があれば、「短時間勤務など柔軟な働き方をしやすい」「配偶者の転勤についていくとき、引っ越し先で仕事を探しやすい」といったメリットがある。
男性では事務系資格のほか、「現場仕事」で優遇される資格が多い。例えば危険物取扱者はガソリンスタンドや工場で優遇される仕事であるし、フォークリフト免許は製造・物流の現場で役立つ。
転職で役立った資格について、「転職のために取得したのか、それとも以前から持っていたのか」を聞いたところ、「以前からもっていた」と答えた人が78.6%と多くなっている。8割近くが、もともと取得していた資格を生かして転職したことになる。
社会人になってから資格取得するには、勉強時間の確保が大きなハードルになる。労力や時間を考え、もともとある資格を活かして転職する人が多いのかもしれない。
○<転職活動以前から資格をもっていた人の回答>
・危険物取扱者・第2種電気工事士。高校時代に「いつか役に立つ」と思って取っておいた(22歳 男性)
・宅地建物取引士。前職で不動産の営業をしており、必ず取得しないといけなかったため(25歳 女性)
・英検など。趣味の延長で取得(28歳 女性)
「学生時代に将来のことを考えて取得した」「前職で必須の資格だったから」という回答が多数。取得している資格から求人を絞り込めば、好条件で転職できる仕事が効率的に探せそうだ。
また、「前職のために取得した資格だったが、異業種でも役立った」という体験談もあった。
○<転職のために資格を取った人の回答>
・420時間日本語講師養成講座。海外で働くために取りました(25歳 男性)
・宅地建物取引士。不動産会社で働きたく、一番役に立つ資格だと考えたためです(28歳 女性)
・ネイリストの資格。ネイルが好きで、好きなことが仕事になれば絶対楽しいと思ったから(29歳 女性)
転職のために資格取得した人は、希望職種・業界に応じた資格をピンポイントで取得するケースが多くなっている。
「保険の仕事がしたいからファイナンシャルプランナー」「事務職になりたいから簿記や秘書検定」など目標が明確なら、勉強も諦めずに頑張れそうだ。
今回の調査では、20代の転職活動で役立つ資格としては「簿記」「語学系の資格」など、「事務系職種で役立つ資格」「どんな業界でも歓迎される資格」が多く挙げられた。
しかし希望の職種・業界が決まっているなら、どんな業界でも役立つ資格だけではなく、業界特有の資格も取得しておいたほうがいいだろう。
「なんとなく」や「簡単に取れそうだから」という気持ちで勉強するよりも、目指す職業や業界が決まっている状態で勉強するほうが、やる気が高まり効率も上がるはず。同社では、「転職後の姿をイメージして、自分に必要な資格取得を目指しましょう」とコメントしている。