三菱自動車、新入社員の夏ボーナス2倍に引き上げの大盤振る舞いも焼け石に水?

大手を中心に少なくない企業が賃上げトレンドにある中、優秀な人材確保のために初任給だけでなく、新卒社員のボーナスも引き上げる企業が登場している。
三菱自動車は新卒社員の夏季賞与を前年比2倍の最大30万円に引き上げる。昨年は15万円程度をお祝い金として支給していたが、今夏は新たに「自己研鑽支援金」という名目で15万円を上乗せして支給するという。
基本的にボーナスとは、当該期間に働いた実績に対して支給されるもの。入社間もない新卒社員の夏季賞与は査定期間が足りないので、“寸志”や“心付け”という形で10万円前後支給されるのが一般的。企業によっては支給しないところもある中、30万円とは大盤振る舞いと言えるだろう。しかし、いかに人材確保のためとはいえ、原資がなければ不可能である。
「今年の春闘では、自動車メーカー上位10社中9社が労働組合側の要求に対して満額回答しているんです。というのも、輸出業種である自動車業界は昨今の円安が追い風となって、2022年4~12月期はまれに見る好業績だったから。さらに販売奨励金の抑制や新車価格の値上げなどのプラス要因も重なり、メーカー9社合計の営業利益は前年同期比で4.5%増となっています。今春相次いだ企業の賃上げは、好況に沸く自動車業界が口火を切った感があります」(経済部記者)
三菱自でも平均の賃上げ額が月額1万3000円、賞与については年間6カ月と労組の要求通りで妥結しており、総年収ベースでは約9%の引き上げとなるという。また、新卒社員はボーナスのほかにすでに初任給も10%上げているため、年収ベースだと前年比15%増となる見通しだ。三菱自がここまでして人材確保に躍起となるのは、自動車業界に「100年に一度」と言われる変革が訪れているからだ。
「この変革は、『Connected(自動車のIoT化)』『Autonomous(自動運転)』『Shared & Services(カーシェアリング)』『Electric(電気自動車)』の頭文字を取って、『CASE』と呼ばれています。自動車メーカーの間では来たるべき変革に備えて、研究開発競争が繰り広げられているのですが、従来のように自動車だけ作っていればいいというわけではありません。各社とも戦いを勝ち抜くために、ITや通信、人工知能、電気化学、金融といった多岐にわたる分野で高度人材が欲しいわけです。そこで、三菱自はボーナス倍増という思い切った策を講じたのでしょう」(同)
とはいえ、三菱自は自動車メーカーの中で決して有力企業とは言えない。例えば、22年度の平均年収を見ても1位は857万円のトヨタで、2位に811万円の日産、3位に778万円のホンダが続くが、三菱自は660万円で7位とトップ3に大きく引き離されている(「東洋経済オンライン」調べ)。就活生にとって、ボーナス倍増がインセンティブとなるかは未知数だ。
「さらに人材獲得競争という観点からすると、ライバルは自動車メーカーだけに留まりません。例えば金融業界や通信業界などは、自動車業界に比べて給与水準がはるかに高い。それらと伍して、優秀な学生を採用するのは至難の業ですよ」(同)
せっかくのボーナス倍増が“焼け石に水”とならなければいいのだが……。
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