求刑下回る判決に遺族は涙…信号無視の車で男性をはね死なせる 19歳男に懲役9年の判決 遺族「頭真っ白に」

2022年、赤信号無視の車で男性をはね、死亡させたとして逮捕された現在19歳の男は「特定少年」として起訴され、裁判にかけられました。7月12日、男に言い渡された判決に、遺族は涙しました。父・勝喜さん:「求刑以上のことは求めますよね。全然足らないですけどね、それでも。息子は死んどるんだで、戻ってくるわけじゃない」 12日、名古屋地裁の前で、息子を失った悲しみを語った丹下勝喜さんと妻の裕子さん。19歳の男に判決が言い渡される裁判の傍聴に訪れました。
名古屋市中川区の無職で19歳の男は、改正少年法によって、起訴後実名が公表された特定少年です。 2022年7月、中川区の国道1号線で車を運転中、赤信号を殊更に無視して危険を生じさせる時速110キロ以上の速度で交差点に進入。
丹下さん夫婦の長男・一斗さん(当時17)をはねて死亡させた危険運転致死の罪に問われていました。
「被告が赤信号を殊更に無視したか」を争点に進められたこれまでの裁判。男は「意に介することなく赤信号を無視したわけではない」と起訴内容を否認していました。 検察側は「速い走りを楽しみたくて赤信号を殊更に無視するなど、極めて危険で悪質な運転」と、懲役11年を求刑。 弁護側は「殊更に信号を無視したという十分な証拠はない」と反論し、危険運転致死罪は成立しないと主張しました。 求刑が行われた法廷で、被告に宛てた手紙を読み上げた母・裕子さん。「犯した罪を認めて一生償ってほしい」と訴える声は、涙で震えていました。 迎えた12日の判決。<大村陽一裁判長>「被告人を懲役9年に処する」 求刑を下回る判決でした。 大村陽一裁判長は、「殊更な赤信号無視」を認めたうえで「速いスピードで交差点に進入して被害者を死亡させた無謀な運転」などと指摘。「信号無視の発覚を免れるためヘッドライトを消していて、とりわけ悪質」としたうえで、「被告の年齢など酌むべき事情を考慮しても、長期の実刑をもって臨むほかない」と判決理由を説明しました。
初公判より髪を短くした男は、微動だにせず自らの判決を聞き、丹下さん夫婦に目を向けることなく、法廷を後にしました。母・裕子さん:「納得していないです。短すぎます。(刑期を終えても)20代だったらなんでもやり直せる年齢だから…。でも息子はやり直すこともできない、生き返ってもこないから」父・勝喜さん:「ちょっと頭真っ白になった。納得いかんわね。(Q.息子さんにどう伝えたい?)まぁ、謝るしかないよね…」
改正少年法では、18歳と19歳は「特定少年」と位置づけられています。インターネットの特性を鑑みて、記事は放送から一部変更しています。