自動車保険の保険金不正請求が横行した中古車販売大手ビッグモーター(東京)がCMの放送中止の通知をメディア側に出したことが20日、分かった。CMキャラクターを務める俳優の佐藤隆太(43)の所属事務所が契約解除に向けた協議中であることを明らかにしており、放送継続は困難と判断したとみられる。
ビッグモーターは共同通信の取材に「(CMの)放送を取りやめる方向で調整を進めている」と回答した。
通知は広告代理店を通じて出され、テレビの民放関係者によると、この日までにAC(公共広告機構)のCMに差し替えた局もある。首都圏のあるラジオ局は「19日からは放送していない」と説明した。20日夜にはインターネットの公式サイトのトップページから佐藤の写真が消えた。ビッグモーターは「今回の問題を受けて佐藤さんにこれ以上のご迷惑をおかけできないと判断した」と説明している。
CMは「車を売るならビッグモーター」のキャッチフレーズで大量にオンエアされていたこともあり、お茶の間や運転中のドライバーらに浸透していた。別の局関係者によると、年間数億円単位の契約を結ぶ大口スポンサーだったという。
ビッグモーターは故意に車両を傷つけて修理代を水増しするといった悪質な行為が全国で明らかになった。CMを巡っては、不正を巡る報道が相次ぐ中でも変わらず流れているとしてインターネット上を中心にビッグモーターの倫理観に対する批判が高まり、矛先はCMを流すメディア側にも向けられていた。
スポーツ報知の取材に日本テレビは「個別のセールスについては回答を差し控えさせていただきます」と回答。テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビも「個別の取引については回答を控える」と同様のコメントを出した。また佐藤の事務所は「引き続き契約解除に向けて調整しております」と話している。