『もののけ姫』の登場キャラの裏設定に「全然知らなかった」「深い」

1997年に公開された、スタジオジブリの長編アニメ映画作品『もののけ姫』。
当時、日本の歴代邦洋映画の記録を塗り替え、興行収入193億円を達成した、宮崎駿監督渾身の傑作として知られています。
そんな『もののけ姫』が、2023年7月21日、映画番組『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送。
同番組のTwitterアカウントでは、『もののけ姫』にまつわる数々の豆知識や裏設定が公開され、話題になりました。
中世の日本が舞台とされている、『もののけ姫』。
少年アシタカが、タタリ神を退治した際に受けた呪いを解くため、旅に出るところから始まります。
出典:スタジオジブリ
アシタカが旅立つ際、同じ村に住む少女、カヤが見送りにくるシーン。
カヤは、実はアシタカの妹ではなく、許嫁だったことをご存知ですか。
目上の人に対する敬意から、アシタカを「兄様」と呼んでいたため、勘違いする人もいたでしょう。
宮崎監督いわく、カヤがアシタカに渡した『玉の小刀』は、自分の恋人に『印』として渡すものなのだとか。
マゲを切り落とし、村を去るアシタカに二度と会えないことを察したカヤが、どんな気持ちで『玉の小刀』を渡したかを想像すると、胸が締め付けられます。
カヤ「いつもいつも カヤは兄さまを思っています」アシタカのことを「あにさま」と呼ぶエミシ一族の少女、カヤ。アシタカの妹だと思っていた人が多いのでは?実はカヤは一族の中でアシタカの許嫁(いいなずけ)として認められた娘だったんです!続く pic.twitter.com/JAUbv2pjvd
続き「あにさま」と呼んでいるのは自分より目上の人に対する敬意からなんですね。ちなみにカヤの声は、サンを演じた石田ゆり子さんが2役担当しています。さらに、カヤがアシタカに手渡した“玉の小刀”について、宮﨑駿監督は次のように語っています。続く
続き「玉の小刀って、(中略)あれは自分の恋人に、自分の印にあげるもんなんです。(中略)こういう形になってますけど、アシタカは村を追われてるんですね。マゲを切ってるでしょ。(中略)つまり二度と逢えないだろうっていう」別れる時のカヤの思いを想像すると胸が熱くなりますね
山犬になることを願い、人間を醜い存在と考えるサン。
母親代わりである山犬のモロに育てられたサンは、人間の姿を持つ自分のことも醜いと考えているようです。
宮崎監督は、「多分モロのことだから、あけすけにサンに『お前は醜い』といってると思うんですね。そういうお母さんですから」と話していたそう。
自身の生い立ちに悩んでいたサンだからこそ、アシタカに「そなたは美しい」といわれた時、驚きの表情を見せたと考えられます。
サンはずっと山犬になることを願い、人間は醜いと考えているため、自分のことも醜いと思っています。宮﨑駿監督はモロとサンについて次のように話しています。「多分モロのことだからあけすけにお前は醜いと言ってると思うんですね。そういうお母さんですから」続く pic.twitter.com/x9au8VJIpj
続きサンがアシタカに「美しい」と言われた時に見せた驚きの表情の裏には、自らの生い立ちに悩む彼女の気持ちが表れているのです。#もののけ姫 #金曜ロードショー
『タタラ場』を総括する指導者である、エボシ。
村の人々から慕われ、勇ましい振る舞いが印象的なエボシには、しっかりとした裏設定がありました。
宮崎監督の設定メモには、「海外に売られ、倭寇の頭目の妻となり、頭角を現し、ついに頭目を殺し、その金品を持って自分の故郷に戻ってきた」という記述があるのだとか。
壮絶な過去を生き抜いてきたからこそ、『タタラ場』での姿があるのでしょうね。
「もののけ姫」制作にあたって宮﨑駿監督が書いたエボシの設定のメモには、こんな記述があります。“海外に売られ、倭寇の頭目の妻となり、頭角を現し、ついに頭目を殺し、その金品を持って自分の故郷に戻ってきた”こんな過去を生き抜いてきたからこそ、今の勇ましいエボシがいるんですね。続く pic.twitter.com/UcKNFybaQd
続きちなみに、エボシの声を演じたのは田中裕子さん、ゲド戦記の「クモ」役も担当されていました。エボシの声を演じるにあたり、宮﨑駿監督からは「宝塚風にならないように」というリクエストがあったそうです。#もののけ姫 #金曜ロードショー
『もののけ姫』にはたくさんの生き物が登場しますが、中でも目を引くキャラクターが『コダマ』でしょう。
コダマは、豊かな森に住む精霊のような存在で、物語の中盤には無数のコダマが登場しています。
出典:スタジオジブリ
しかし終盤では、デイダラボッチが出した液体で、森の植物はことごとく死滅。多くのコダマが力尽きたように降り注ぐ、悲しいシーンがありました。
その後、『もののけ姫』の最後のシーンでは、再生し始めた森に1人たたずむコダマの姿が。
宮崎監督いわく、このコダマが、アニメ映画『となりのトトロ』に登場する、後のトトロになるという考えがあったのだそうです。
つまり、『もののけ姫』と『となりのトトロ』は、同じ世界線の物語ということにもなるでしょう。
小さなひとりぼっちのコダマが強い印象を残すこのシーン。宮﨑駿監督には、この小さなコダマが後のトトロになるのだという考えがあったそうです。続く#もののけ姫 #金曜ロードショー pic.twitter.com/YZ9fhlsTMp
続きトトロは何千年も生きているというのに、この森にトトロがいないことを気にしていた監督はある日、「それ(最後のコダマ)がトトロに変化したって。耳が生えたっていうの、どうですかね」と話したということです。
『金曜ロードショー』のTwitterアカウントで明かされた数々の裏エピソードには、「全然知らなかった」「細部まで作り込まれている…」「設定が深い」など、驚きの声が上がっています。
豆知識や裏設定を知ってから『もののけ姫』を観れば、より楽しめること間違いなし!
1人でじっくりと見返すのはもちろん、家族や友人と改めて『もののけ姫』を鑑賞してみてはいかがですか。
[文・構成/grape編集部]