転職や今の職業で必要とされるスキルを習得するための学び直しを指す、『リスキリング』。
岸田文雄内閣では成長産業で働く人の増加や、賃上げなどを目標に掲げており、そうした経済政策の一環で、今後5年間で1兆円をリスキリングの支援に投じると表明しています。
2023年1月27日に行われた国会答弁の中で、岸田首相は「育児中などさまざまな状況にあっても主体的に学び直しに取り組む人々を後押しする」と述べました。
すると、この発言に対し、妊娠、出産、子育てを経験した人たちを中心に「産休・育休中に勉強をする余裕なんてない」「子育ての実態を分かっていない」などとネット上で反発の声が続出。
これらの批判について、岸田首相は「自身も3人の子供の親であり、子育ての大変さを経験している」と話し、「ライフステージのあらゆる場面で学び直しを本人が希望した場合、それを後押しできる環境整備を強化するのが大事である」と釈明しています。
4歳と1歳の子供を育てる、せるこ(@seruko)さんは2回の産休、育休を経験しました。
上司のすすめもあり、産休・育休の期間に、資格の勉強をしようと試みたそうですが…。
私も2度の産休育休中にリスキリング(リスなのかキリンなのかはっきりせえ)しようと憧れましたが、2回(別資格)とも本買ってお勉強アプリ入れてみたもののめッッッきり出来ませんでしたね…私は頑張れませんでした…1歳過ぎたいまも夜まとめて寝ないしね(上の子も2歳過ぎまで夜間授乳あり) pic.twitter.com/wBEY0lC3gQ
2度の産休・育休の期間に、テキストを買い、学習用のアプリを入れてなんとか資格の勉強をしようとした、せるこさん。
しかし、産休に入ったばかりの時期は、身体が重すぎて勉強ができるような体調ではなかったそうです。
産後は、赤ちゃんや家族のお世話に追われる日々。あっという間に育休期間は過ぎてしまい、結局テキストにほとんど手を付けずに終わったといいます。
せるこさんは、この時のことを次のように振り返っていました。
勉強をしたい気持ちは確かにあったのですが、難しかったです。焦る気持ち、不安な気持ちだけがずっと残る結果になってしまいました。
無理だと割り切ってもよかったのかなと思います。
子育てをしている人の中には、せるこさんと同じようにリスキリングを試みるもうまくいかず、自分を責めた経験がある人もいるのではないでしょうか。
30~40代のいわゆる『働き盛り』の時期に取得することが多い、産休・育休ですが、その期間中は孤独になりやすく、キャリアに対する焦りや不安といった感情を抱きやすいといわれています。
岸田首相の発言では、産休や育休に限っておらず「学びたい人が希望した場合は、いつでも支援する」という趣旨にも受け取れます。
たとえ子育てでブランクが空いたとしても、学び直しを決めた時点でサポートが得られ、習得したスキルを活かせる環境を作ることが、大切なのでしょう。
批判的な方向で注目された『リスキリング』ですが、これを機に、産休・育休の本来の目的を再確認し、子育て中の人も希望を持てるキャリア形成を考えるきっかけになるといいですね。
[文・構成/grape編集部]