〈札幌すすきの・首切断逮捕〉「医師の父はなぜ娘の逃走を助けたのか」殺されたAさんの奔放な行動と“特殊”なバーでの御法度行為…瑠奈容疑者とは”知り合い”だった

北海道恵庭市の男性Aさん(62)が札幌市中央区のホテルで殺され、遺体から首が切断され持ち去られた事件で北海道警捜査1課札幌中央署捜査本部は24日、職業不詳、田村瑠奈容疑者(29)=札幌市厚別区=と、同居する父親で医師の田村修容疑者(59)の親娘を死体損壊・死体領得・死体遺棄容疑で逮捕したと発表した。道警は瑠奈容疑者が男性の殺害にも関与したとみて調べている。
調べによると親娘は共謀し、7月1日深夜から同2日未明にかけ、札幌・すすきののホテル2階の客室の浴室で、鋭利な刃物のような凶器でAさんの首を切断して持ち去り、遺体を放置した疑い。防犯カメラの映像などから、Aさんと客室に入ったのは瑠奈容疑者だけで、父親は入っていないとみられる。瑠奈容疑者は修容疑者と母親の長女で、同区の自宅で3人暮らし。捜査本部は24日朝から自宅を家宅捜索しており、押収した資料の分析などから事件の全容解明を図る。
現場となったホテル(撮影/集英社オンライン)
Aさんは1日に同区内で開催されたLGBT関係者が集うディスコイベントに参加しており、当日はスカートを穿くなど女装していた。防犯カメラの映像などによると、Aさんと瑠奈容疑者は午後11時ごろに同ホテルの202号室に入室、約3時間後の2日午前2時ごろに瑠奈容疑者が1人で出ていった。この際、瑠奈容疑者はフロントに「先に1人で出ますので、部屋の鍵を解錠してください」と連絡を入れたうえ、数分後に堂々と出ていったという。Aさんは女装愛好とともに、“界隈”では性にリベラルで奔放なことでも知られていた。札幌随一の繁華街・すすきのの特殊な趣味を持つ人が集まる老舗会員制バー「B(仮称)」では「ともちゃん」という名前で知られた存在だったという。Aさんを同店に出入りできるように紹介した「B」の常連客であるサトウさん(仮名)はこう証言した。「最初にAさんと出会ったのは、北海道伊達市の北湯沢にあるKという名前の混浴温泉です。ここは家族連れや普通のカップルも来る川沿いの温泉なのですが、我々の“界隈”のなかでも有名なスポットでした。男女カップルや単独で来た男性客が、女性の裸を鑑賞して、双方でその反応を楽しむ文化があったのです」
女装家だったAさん(右)
この温泉は現存するが、今はオーナーとともに名称も変わり、“界隈”の人々も寄りつかなくなっているという。サトウさんが続ける。「以前からAさんはそこに単独男性として来ていて、女性やカップルの裸を覗き見をしていました。ちなみに、混浴風呂で覗き見することを“ワニ”と言います。そのうちAさんはワニだけでは満足できなくなったのか、私にすすきのの“特殊”なバーに『(店は紹介制のため)入店できるように繋いでほしい』と言ってきたので、『B』のオーナーに紹介しました。Aさんはこのとき、名前は名乗りませんでしたが、『恵庭市在住で女装が趣味』と言っていました。今回の事件を受けて『B』の店長からも『サトウさんから紹介された男が首なし殺人の被害者だ』と連絡がきたので、間違いないですね」
その後は「B」の常連となったAさんだったが、あまりお行儀はよろしくなかったようだ。「その当時のAさんは今よりも痩せていて、スッピンだけどイケメンでした。女装が趣味だが女が好きとも公言していました。私が紹介してから『B』にも女装して何回か来店したそうですが、店内で女性客に電話番号を聞くなどの御法度を繰り返したため、『B』のオーナーが彼を出入り禁止にしたと聞きました。その後、別の会員制バーにも顔を出していたものの、そこも出禁になったとの噂があります」(サトウさん)社会部記者によると、瑠奈容疑者とAさんは知り合いだったという。「これまで、すすきの界隈でトラブルをおこしていたAさんは、瑠奈容疑者とのあいだになんらかのトラブルがあり、恨みをかっていたとみられている。瑠奈容疑者はAさんを殺害した後、風呂場で遺体の首を切断したのだが、彼女は精神疾患を患っていたという話もある。また、瑠奈容疑者の実家は相当な資産家で、父親の修容疑者は地元でも有名な精神科の医師。過労自死や職場のメンタルヘルス問題、ホームレス問題などにとりくむ一方、バンド活動をしていてギターを担当していたことがSNSで確認できる」(社会部記者)
田村修容疑者(本人SNSより)
父の修容疑者は、現場付近に車で瑠奈容疑者を送り届けたほか、瑠奈容疑者が犯行後にホテルから逃走する際、車に乗せて逃走を手助けしたとみられている。近隣住民は、医者として名高い父が事件に関与していたことに驚きを隠さない。その一方、一部では「家がゴミ屋敷だった」「瑠奈容疑者は小学校時代から不登校だった」といった話も報じられている。発生から約3週間で急展開を見せた未曾有の猟奇殺人事件の解明は、始まったばかりだ。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班