市川市で2021年、伯母やその元夫を殺害したとして、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた一倉大悟被告(32)の裁判員裁判判決公判が24日、千葉地裁であり、水上周裁判長は「2人の生命を奪い、結果は極めて重大。犯行態様が残忍で殺人事件の中でも悪質性が高い」として求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
水上裁判長は判決理由で、被告は伯母の姫野旬子さん=当時(64)=らが住む土地を担保にし、母の姫野富士子被告(63)=一審有罪判決=に融資を受けさせて金銭を得るため、不凍液で伯母を殺害する計画をしたとし「利欲目的の犯行で極めて悪質」と非難。被告が不凍液を準備するなど、実行行為の大半を担っており「主導的立場だった」と指摘した。
伯母の元夫で会社役員の渡辺和彦さん=当時(65)=の殺害については、借金の返済などを求められるなどして被告が不満を抱いたことが動機の一つとし「利己的で身勝手」と指弾。放火の方法をインターネットで検索し、エンジンオイルを購入するなど「一定の計画性があった」と認めた。「渡辺さんは炎の中、意識がある状態で少なくとも25分間苦しんだ末亡くなった。恐怖は想像を絶する」と断罪した。
判決によると、21年4月、旬子さんに対し、腎不全を起こす毒性がある不凍液を混ぜたウイスキーを飲ませ、さらに富士子被告と共謀し不凍液を外国製の薬だと偽って飲ませるなどし、旬子さん宅の階段から投げ落として殺害。同月25日には渡辺さん宅に火を付け渡辺さんを焼死させた。
富士子被告は殺人などの罪に問われ、懲役9年とした千葉地裁判決を不服として控訴。東京高裁は今月14日、一審判決を支持し控訴を棄却した。