7月25日、自動車保険の保険金不正請求問題を巡り、中古車販売大手のビッグモーターが会見を実施。SNS上で指摘されていた“街路樹への除草剤散布疑惑”についても、会見内で徐々に認めていく形となった。
ビッグモーターについては、不正請求問題の発覚後、SNS上で「店舗前の街路樹が、次々と枯死している」という報告が相次いでいた。なかには展示車両を見やすくするためではないか、掃除をしやすくするためではないか、との指摘も。実際に店舗前だけ街路樹や植木が枯れ果てた様子や、店舗前の枯れた植木で作業する店員の様子がGoogleストリートビュー上で確認でき、疑惑は大きく膨らんでいた。
会見でもこの除草剤散布疑惑について記者から質問が行われたが、兼重宏行社長が「環境整備で…」と口を開こうとすると、同席していた陣内司管理本部長がかぶせるように「きちんと調査をさせていただきまして、適切に対処させていただきたい」と発言し、社長の発言を制止。リアルタイムで会見を視聴していたユーザーたちはこの行動に驚きを隠せない様子で、動画サイトのコメント欄は一時騒然とした。
その後改めて、兼重社長は「除草はやりますので、それでなったのか……。まぁ、枯らすようなことは普通やりませんよね、見栄えも悪いですし。除草して整えることはやりますけど」とコメント。このときも同席者が「事実関係を確認して適切に対処していきます」とフォロー。さらに、除草に関して細かい指示を出すのか聞かれると「全くありません。現場で判断してやります」と、社長自身は一切関係ないという姿勢を見せた。
さらに記者から「逆に、除草がなされていないことで本社から問題があるという指摘が入ることはあるのか?」という質問がなされると、兼重社長は「お客様が目にするところは、きれいにしようとしていますから、当然草が生えて見栄えが悪ければきれいにしますよね。その一環くらいしか考えられませんけど」と述べるにとどまった。
すると今度は石橋光国取締役が、「敷地内の話とちょっと混同していると思いますので、その辺だけ間違えないでいただければと」と、すかさず助太刀。「一応安全整備の点検の中で、展示場の中に雑草が生えていないかというのがあったと私は認識しています。そのなかで、除草剤をまくという事はあったかと思います。そのへんに関して、街路樹までどうこうというのは今調査や確認をさせていただくという流れになっています」と続け、敷地内に除草剤をまくことはあったが、街路樹にまいたかはわからないと答えていた。
その後、7月26日付で社長に就任する和泉伸二専務が、改めて除草剤疑惑について説明すると、また違った回答が。
和泉専務は「全店舗のお客さまが入ってくる出入り口、歩道を含め、その前後10メートルにわたって、雑草やごみを取り除こうと毎朝取り組んでいる。その一環として街路樹に生えている雑草に対して手で抜けばいいところを甘い認識で除草剤をまいてしまった。それが植木や街路樹に影響を与えてしまったことがあると思う。もちろん、それはかれこれ10年くらい前の話だと思う」と、過去の除草剤散布を一部認めたのだ。さらに「今は現時点では、そういう指導はしていないし、そういった常識も併せ持っているものと思います」と、あくまで除草剤散布は過去の話だと念押しした。
「和泉専務は、除草剤散布は過去の話だとしていますが、群馬県太田市では、ビッグモーターに面する道路の樹木が除草剤の影響で枯れたとして、昨年11月に県の土木事務所が被害届を出したと報じられています。土木事務所が調査したきっかけは、昨年8月に寄せられた住民からの情報提供とのことです。
今回の会見では、不正請求についても社長の”我関せず”な姿勢が批判を浴びています。除草剤についても、記者からの質問が繰り返されることにより認めたかたち。現場の事はわからないとする幹部たちですから、今後、巻いていた時期や、除草剤散布に関する指示系統があったのかについて新たな事実が発覚する可能性も高いでしょう」(社会部記者)
しどろもどろな会見は、消費者の不信感をさらに高めそうだ。