最近は電気料金の高騰が続き、電気代の高さに悩まされますよね。さらにこれからの時期は、エアコンを使うことで消費電力が増え、ますます電気代が心配になります。「今年の夏は本気で節電したい」と考えている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、夏の電気代を節約する方法について詳しくまとめました。夏の電気代の中で最も大きな割合を占めるといわれるエアコンの節電方法のほか、改めて見直したい家電の節電方法についてご紹介します。
■夏のエアコンの節電方法8選
夏の電気代が高くなるのは、エアコンで冷房を使うことが主な要因です。エアコンは、家電の中でも消費電力が大きく電気代も高いため、まずは、エアコンの使い方を見直すことが最も効果的な節電につながります。エアコンの電気代を抑える方法を、改めて確認してみましょう。
1.風量は「自動設定」にし、無駄な電力を消費しない
電気代を気にして、冷房の風量を「弱風」や「微風」にしている人もいるでしょう。しかし、設定ははじめから「自動」にしておくのがおすすめです。自動設定にしておけば、部屋が冷えるまでは強風、部屋が冷えたら微風という具合に、最も効率よく冷えるよう風量の調整を行ってくれます。
エアコンは、設定温度に下げるまでが最も電力を消費し、電気代もかかります。この時、はじめから「弱風」や「微風」にしてしまうと、なかなか部屋が冷えず、結果的に余分な電力を使ってしまうのです。
2.扇風機やサーキュレーターを併用する
リビングなど比較的広い部屋では、エアコンから少し離れた場所にいると、冷気が届かず暑さを感じることがあるでしょう。しかし、だからといって設定温度を下げると、電気代が高くついてしまいます。
そこで、エアコンだけでなく、扇風機やサーキュレーターも併用してみましょう。扇風機やサーキュレーターは、エアコンから来る風を背にして設置すると、冷気をさらに遠くに送ることができます。
3.温度ムラを解消し、効率的に部屋を冷やす
室内の「温度ムラ」を解消することも大切です。空気には、「暖かい空気は上に、冷たい空気は下に向かう」という性質があります。そのため、冷房を使う時に風向きを下にしてしまうと、室内に温度ムラができやすくなります。
この温度ムラは、電気代が高くなる要因の一つです。温度ムラがあると、エアコンが「設定温度まで下がっていない」と勘違いし、必要以上に部屋を冷やして余計な電力を消費してしまうことがあるからです。
温度ムラを解消するには、風の向きを上向きまたは水平方向に調整し、冷気が循環するようにしましょう。先ほどご紹介したように、扇風機やサーキュレーターの併用もおすすめです。また、空気清浄機を使っている場合、風量を強くして使用するのも空気の循環に効果があります。
4.室外機の周りには物を置かず、日陰に設置する
家の外に設置するエアコンの「室外機」は、室内の熱を逃がす重要な役割を担っています。室外機の吹き出し口付近やその周りには物を置かず、カバーで覆うことも避けましょう。室外機の吹き出し口をふさいでしまうと、外に放出した熱風を再度吸い込んでしまい、冷却効率が低下してしまうためです。
また、室外機を直射日光や地面からの照り返しにさらされる場所に設置すると、その付近は大変な高温になって熱を捨てる効率が下がり、余分な電力を使ってしまうことがあります。室外機はできるだけ日陰に設置するか、もしくは、室外機から1mほど離れたところによしずを立てかけて日陰を作る工夫もおすすめです。
5.2週間に1度、フィルター掃除をする
エアコンは、室内の暖かい空気を吸い込み、冷たい空気を吐き出すことで、部屋を涼しくします。しかし、エアコン内部のフィルターにゴミやほこりがついて目詰まりすると、吸い込む空気の量が少なくなり、部屋を冷やすために余分な電力がかかってしまいます。
そこで、エアコンのフィルターは2週間に1度を目安に掃除しましょう。フィルターの汚れは、水洗いまたは掃除機できれいにします。汚れがひどい場合は、中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗い、日陰でよく乾かしましょう。
6.できるだけ設定温度を下げない
エアコンは、設定温度を1度下げると、消費電力が約10%アップします。その分、電気代も高くなってしまいますので、むやみに設定温度を下げないようにしましょう。
なお、環境省では、冷房を使用する場合の室内温度は、28度を推奨しています。エアコンの設定温度と室内温度は異なりますので、室内に温度計を設置してそちらを目安にしましょう。28度だと暑いと感じる場合は、扇風機やサーキュレーターを併用したり、室内でも冷却グッズを使用したりすると、体感温度を下げることができます。
7.エアコンを使い始める前に部屋の換気をする
エアコンは、部屋を冷やし始める時に最も多くの電力を使います。そこで、帰宅後に部屋が暑い場合は、エアコンをつける前に窓を開けて換気を行いましょう。
換気は、一つの窓だけでなく、その対角にある窓も両方開けることで、暑い空気を外に追い出せます。風がない場合は、一方の窓に向かって扇風機で風を流すと、効率よく換気できます。
8.最新機種に買い替える
資源エネルギー庁によると、最近の省エネタイプのエアコンは、10年前と比べると約17%の省エネになるそうです。また、エアコンを安全上問題なく使える年数は、多くのメーカーで「10年」とされています。これらの理由から、10年以上前のエアコンを使用している場合は、エアコンの買い替えを検討してもいいでしょう。
エアコンを買い替えるとなると購入費用がネックとなりますが、現在、自治体によっては、家電の買い替えでポイントを付与する支援事業を実施しています。
たとえば、東京都民が利用できる「東京ゼロエミポイント」事業(2024年3月31日まで)では、省エネ基準を満たしたエアコンや給湯器、冷蔵庫、照明器具を買い替えるとポイントが付与され、そのポイントはLED割引券1,000円分と、残りは商品券に交換できます。
東京都以外にも同様の支援事業が行われていますので、エアコンを買い替える際にはぜひ利用してみましょう。
■エアコン以外の家電の節電方法
エアコンの節電方法について詳しく解説しましたが、他の家電はどう節電すればいいのでしょうか。次に、消費電力の大きい4つの家電の節電方法をご紹介します。
<冷蔵庫>
冷蔵庫の節電には、食材を詰めすぎない、ドアの開閉を少なくするなど、庫内の冷気を循環させ逃がさない工夫が大切です。また、放熱を妨げないよう、冷蔵庫の上には物を置かず、壁から5㎝以上離して設置することも節電につながります。
在宅ワークで、飲み物を出すため冷蔵庫の開閉が多くなるという場合は、保冷機能のついた水筒にあらかじめ飲み物を入れておくと、冷蔵庫の開け閉めを少なくできるでしょう。
<洗濯機>
夏になると着替えが増えて洗濯物も増えますが、節約を考えると、洗濯の回数はできるだけ減らしたいものです。洗濯物の量が少ない時は洗濯せず、洗濯機に入る8割程度の量までたまったら、まとめて洗うといいでしょう。
ただし、節約したいからといって、洗濯物を詰め込みすぎると水流が悪くなり逆効果ですので、気を付けましょう。
<照明器具>
基本的なことですが、使っていない部屋の照明は消すようにしましょう。家族が別々の部屋で過ごすとその分照明による電気代がかかってしまいますので、家族が一つの部屋で過ごすのも節約につながります。
また、照明は電気をつける瞬間に消費電力が大きくなりますので、あまりこまめにスイッチをオンオフするのは避けましょう。そのほか、白熱電球をLED照明に変えると約8割の省エネになります。なお、LEDの場合、電気をつける際に消費電力が大きくなることはありませんので、こまめなスイッチのオンオフが節電には効果的です。
<テレビ>
テレビの節電には、観ていない時は消すほか、画面を暗くする、音量を下げるなどして消費電力を抑えることが効果的です。また、出勤前や就寝前など、テレビを観ない時間帯にはコンセントから抜くと、待機電力を抑えることができます。
■さまざまな工夫を重ねて少しでも節電を
厳しい暑さが予想されるうえ、電気料金の高騰も重なる今年の夏。電気代を抑えるためにできることは、可能な限り取り組みたいですね。エアコンを節電するにしてもまずは体調が最優先ですが、さまざまな工夫を重ねて少しでも節電しつつ、猛暑を切り抜けたいところです。
武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら