半世紀の歴史に幕「ジャンボ機」、実は“初づくし”の民間機だった? ボーイング747が空を飛ぶまで

本来「スーパージェット」と呼ばれる予定だったそうです。
2023年1月、シリーズ最終号機が顧客へ引き渡され、その歴史に幕を下ろしたボーイング747。「ジャンボ・ジェット」「空の女王」と呼ばれ、世界の航空・旅行ファンなどに親しまれたこの旅客機は、いまから54年前の1969年2月9日に初飛行しました。
半世紀の歴史に幕「ジャンボ機」、実は“初づくし”の民間機だっ…の画像はこちら >>ボーイング747試作初号機(画像:ボーイング)。
747の最大の特徴といえば、その大きさと形状です。当時の旅客機としてはもちろん世界最大で、2022年現在でも最大クラスとなる全長70m超の胴体を持ち、前部のみ客室を2階建てとする独特の胴体デザインを採用。日本では500席超の国内線仕様機なども誕生するほど、飛び抜けた収容力を誇りました。
このユニークな設計は、アメリカ空軍の戦略輸送機「CX-HLS」計画でボーイング社が発表した機体案のコンセプトを活かし、旅客機としての役目を終えた後も、貨物機として転用可能なよう各種のアレンジが加えられたものとされています。ボーイングによると、747の初号機の製造は16か月足らずで実施され、当時の開発メンバーは「インクレディブル」と呼ばれたそうです。
そして当時、747は初づくしの旅客機でした。たとえば、通路が2本ある「ワイドボディ」の採用や、従来機より燃費も性能もよい「高バイパスターボファン・エンジン」が搭載されたことなどです。

初飛行後のボーイング747は、1970年にパンアメリカン航空で就航。その後、世界中で100を超える航空会社で運用されたとのことで、その比類無き収容力から海外旅行の大衆化に大きな貢献を果たしています。
また「ジャンボジェット」と名付けたのは、その巨体を見たマスコミで、ボーイングは当初は「ジャンボ」を愛称として認めず、「スーパージェット(Super Jet)」を公称としていました。ただ、その名が浸透したことで、現在ではボーイングもこの「ジャンボ」の名称を認めています。
Large 02
ボーイング747最終号機「N863GT」(画像:ボーイング)。
747はその後シリーズ化し、時代に応じてさまざまな改良を加えた派生型も次々にデビュー。製造は半世紀以上続けられました。もっとも売れた派生型はハイテク化で2人乗務制を採用した「747-400」。シリーズ最終号機となった「747-8」は、従来より大型化を図るなどの改修が加えられています。ちなみに、747をもっとも購入した航空会社はJAL(日本航空)で、日本むけのサブタイプも製造されています。
ボーイングによると、これまで製造された747の数は、シリーズ累計1574機。747シリーズは、これまで1億1800万時間以上空を飛び、2300万回近くフライトしたとのことです。