警視庁が大麻取締法違反と覚醒剤取締法違反の疑いで日本大アメリカンフットボール部の寮を家宅捜索した事件で、先月上旬、日大などに文書で「昨年、複数の部員が大麻を吸引していた」との情報提供が郵送で寄せられていたことが4日、分かった。文書によると、昨年秋の公式戦前、複数の部員が大麻を吸ったと認めたという。その後も部員の処分はされなかったとした。日大は昨年の事案について「現在、調査中のため、お答えできる内容はありません」と回答した。
また、7月に寮で見つかった乾燥大麻と覚醒剤成分を含む錠剤が、所持が疑われている部員の部屋にあったことが、捜査関係者への取材で判明。ベッドに備え付けの施錠が可能な収納ボックスから見つかったという。部員は「OBから預かっていた」と大学側へ説明したという。ただ、大学側が警視庁に相談したのは植物片を見つけてから約2週間後だった。
警視庁は19日頃に大学側から提供された錠剤などを押収。鑑定の結果、植物片は乾燥大麻、錠剤には覚醒剤成分が含まれていた。警視庁は8月3日、都内の寮を捜索し、部員の部屋や屋上などの共有スペースを調べた。
日大アメフト部は優勝35回、日本一21回の名門。付属高出身者を中心に入部していた。2018年5月には、日大選手による悪質なタックルを巡り、前理事長らのずさんな対応が批判を浴びた。大学関係者によると、事件以降、入学者が激減するなど打撃は大きく、選手のスカウト活動にも支障が出たという。同部は現在、全体練習を自粛している。