「発達障害の原因は〇不足」…SNSの「#PR」投稿で真偽不明の栄養情報に不安がる親が増加、関係者が警鐘

子育て中の親にとって、インスタグラムやツイッターなどのSNSは気軽で楽しく情報収集ができる便利な存在だ。しかし、一部の投稿で科学的根拠が乏しい情報で不安をあおり、健康食品やサプリ、粉剤などを販売する「#PR」投稿が増えており、問題視されている。
SNS上で多数のフォロワーを持つインフルエンサーが、おしゃれな写真などとともに、子供の食事や栄養素に関する内容で、複数枚のページを投稿。なかには「〇〇不足で発達障害のような症状」「子供の発達遅れは〇〇不足」「〇〇を食べないと言葉が遅れる」という科学的根拠の乏しいものや、「発達障害の原因は〇〇不足」と間違った情報を断定しているケースもみられた。子育て中の親にとっては、子供の発達などは気になる事。日々の食事が原因で発達障害…のようなフレーズは、親を「ドキッ」とさせて投稿をクリックさせるには十分なインパクトだろう。私は記者として発達障害について取材した経験もあったが、このような投稿を見た時には「あれ?そんな情報どこから?」と気になりクリックしてしまった経験がある。発達障害は先天的な脳機能の障害であり、多少言葉足らずだったとしてもこれらの表現は混乱を招く。
これらの事象に、関係者は警鐘を鳴らす。母子への食事アドバイスや、保育園などの企業研修をする人材育成などを行う「一般社団法人 母子栄養協会」代表・川口由美子氏は、行き過ぎた表現のPR投稿に対する懸念をX(旧ツイッター)に投稿。その真意を聞いた。
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-「インスタグラムにあふれる子育て×栄養に関するPR案件で不安を抱える人が増えている」という投稿に関して。そう感じたときはいつ、どんな人たちと接した時か?
「育児相談の中で、『保育園に行きたくないというのですが、●●(栄養)不足ですか?』『気に入らないことがあると激しく泣くのですが栄養不足ですか?』など栄養士として理解が難しい相談内容があまりにも続いたためです。これらは他の要因も考えられるため、栄養だけとはいいにくいにもかかわらず、なぜそのような疑問を思ったのかうかがったところ、インスタグラムでみたということでしたので、これはちょっとよくないなと思いました」
-インスタのPRに関して「一部あまりにも不安を煽りすぎていたり情報がいきすぎているものがみられる」と感じた投稿は、どのようなものだったのか?
「私はあまり見ていないのですが、ツイッターで皆様から寄せられたものには『知能が遅れる』『鬱になる』など栄養だけの問題ではないようなものも、栄養不足だと短絡的に表現しているようです」
-子供の栄養に関わる仕事をする立場から、このようなPR案件に関して思うこと、子育て中の親へ伝えたいメッセージを
「SNSを使ったPRは悪いことではなく、雑誌やテレビの広告と同じようにあくまでも新しい広告の1つです。しかしながら、どのような広告方式であっても、栄養以外の要素が大きい子育ての悩みに対して、まるで栄養だけが原因であるかのような短絡的なものはあまりよくないですよね。そういうものがなくなるといいなとは思いますが、そのためにもまず見る側が『PRですね』と割り切って対応していくようにしましょう。
不安な気持ちもあるかもしれませんが、栄養だけのせいにしてしまうと他の大切なことを見落としてしまうかもしれません。
たとえば一緒に絵本読んでみようかなーとか、歌でも歌ってみようかなとか、またあまりにも泣くようでしたら、痛いところがあるのかな? 病院に行った方がいいかな?などです。栄養士としてこのようなことをいうのはおかしいですが、栄養だけで片付くことは少なく、栄養はさまざまな要因の1つです。健康上の不安なことがあったら医療機関にお問い合わせくださいね」
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このようなソーシャルメディア(SNS)マーケティング市場は急成長している。例えば、インスタグラムだと、「1フォロワー=約3円」で広告案件が受注され、10万人のフォロワーがいる個人インフルエンサーが一つの商品を紹介した時に、30万円の報酬が入るような仕組みだ。株式会社サイバー・バズの調査によると、2023年のソーシャルメディアマーケティング市場は1兆899億円、前年比117%の見通し。2027年には2023年比で約1.7倍、1兆8,868億円にまで成長すると予測されている。数が増えれば消費者も目にする機会が増える、そうなる前にPR投稿の表現などに関する一定の指針が必要だろう。
大事なのは「ネットリテラシー」。しかし、プライベートな時に使用する印象の強いインスタグラムなどのSNSなどにおいて、リラックスしてあまり何も考えていない、無防備な状態の時に、このような投稿を目にしたら、不安に襲われ「そうなのかもしれない」とうのみにしてしまうことも考えられる。健康食品やサプリ、粉剤などを紹介する「#PR」投稿の情報の真偽については、より注意深く確認してほしい。
「出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ」