「人の金で食う焼肉は美味い」という格言(?)を、強く実感した経験はないだろうか。なんの気兼ねもなく、好きなものを好きなだけ食べられる至福の時…「人のおごりでしか得られない快感」というのは、確かに存在すると思われる。
以前ツイッター(現・X)上では、とある企業に設置された「最高すぎる自動販売機」に、称賛の声が寄せられていたのだ。
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今回注目したいのは「金属技研株式会社」(MTC)が、7月に投稿した1件のツイート。
会社の自販機に出現した衝撃の6文字、思わず目を疑うが… 「う…の画像はこちら >>
こちらの投稿には、青い作業服を着た2名の男性が自販機にて飲み物を購入する様子を収めた動画が添えられているのだが…男性らは明らかに自販機にお金を投入していない。
自販機の故障では…? と思わず不安を覚えてしまったが、自販機上部を見ると、即座に納得。そこには、なんと「会社のおごり自販機」なる、衝撃的なPOPが設置されているではないか。
男性らは専用の「カード」をタッチし、飲み物をゲットしていたのだ。
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本文に「『会社のおごり自販機』導入されました。こうやって社員2人でタッチをすると1日1人1本、会社のおごりで飲める代物です!」「今月中には全拠点に導入される予定です。社員同士のコミュニケーションが生まれるし、熱中症対策にもなるし嬉しいですね」と綴られた同ツイートは、投稿から数日で2,000件以上もの「いいね」を獲得するほど大きな話題に。
他のツイッターユーザーからは「うちの勤務先にも置いてほしい!」「和気藹々として楽しそう」「こういう取り組みをしてくれる会社だと、頑張って仕事するぞ! ってモチベーション上がるよなぁ」など、称賛の声が相次いでいた。
やはり「会社のおごり」という6文字は、かなり衝撃的且つ印象的である。そこで今回は話題の自販機の詳細をめぐり、同自販機を展開する「サントリー食品インターナショナル株式会社」ならびに、ツイートを投稿したMTCに詳しい話を聞いてみることに。
同自販機の誕生経緯について、サントリー担当者は「働き方が多様化してリモートワーク化が加速する中で、上司・部下・同僚間での仕事以外のコミュニケーション機会が減っていることを課題と捉え、その課題に対し、いつでも手軽に飲み物が買える自販機を通じて職場内のコミュニケーションのきっかけをさらに増やせないかと考え、『社長のおごり自販機』を開発しました」と説明している。
2021年10月より首都圏エリアでサービスを開始し、22年5月からは範囲を全国に拡大。ちなみに名称は、今回の「会社のおごり」のように要望に合わせた文言の変更が可能で、他にも働き方やコミュニケーションの目的に合わせて「おごりモード」にできる曜日・時間・利用上限数などのカスタマイズも見逃せない。
さらには「同じ相手との利用ばかりにならない」ように条件設定も可能と、痒い所に手が届くサービス内容となっているのだ。
新型コロナウイルスが落ち着きつつある現在、オフィス回帰の流れが強まった影響もあってか、担当者は「今年に入って問い合わせ件数が飛躍的に増えていて、既に200台以上が設置されています」とも説明している。
続いては、同自販機を実際に設置したMTCに、詳しい話を聞いてみる。
金属およびセラミックスの接合や、精密加工等を主な事業内容とする同社。しかしそういった作業はあくまで「屋内」の工場で行なうため、屋外の作業がメインとなる企業と比べると、夏の「暑さ」も若干和らぐのでは…と感じてしまう。
だが、記者のこの考えは完全に間違っていたことが判明。金属部品の熱処理を行なう際、熱処理が終わった金属を装置から取り出して冷ます工程が発生し、その温度は200℃~300℃、場合によっては900℃にまで達した金属を取り扱うケースもあるというのだ。
MTC担当者からは「金属の質量が大きいと、当然冷めるのにも時間がかかります。あるケースでは、手で触れるようになるまで3日を要したこともあります」と、驚きのエピソードが…。
ときおり「灼熱」が出現する現場で作業に勤しむ従業員らに、同社では日頃から水分補給の呼びかけを行なっている。そうした背景もあってか、過去に従業員の熱中症が発生したケースはないそうだ。
今回、話題の「おごり自販機」を設置したのは、夏場の水分補給の促進…というよりは、SDGsの観点から社員同士のコミュニケーション増や、福利厚生の一環としての意味合いが大きい模様。
実際に同自販機を利用した同社社員(溶接業がメイン)からは「普段あまり会話できていなかった人とも会話ができるきっかけになっていることは、間違いないと思います。個人的には2人で社員証をかざす瞬間が楽しく、好きな瞬間であると感じています」と、笑顔のコメントが得られたのだ。
前出のように、熱中症予防に積極的な同社工場内には、ウォーターサーバーを複数設置している。しかしこちらの自販機であれば、水分補給により適したスポーツドリンクも入手できるため、とても重宝しているそう。
MTCでは発電、医療・航空宇宙などの他に、スマホ等の電子機器に必須となる半導体関連の事業にも大きく携わっている。サントリーの「おごり自販機」によって、MTCの事業が円滑化され、それによって我々の日常生活がより便利になっている…という考え方は、決して大げさではない。
今回のMTCのツイートをきっかけに、「おごり自販機」に興味を持った企業もいることだろう。
「会社のおごり自販機」導入されました\(^o^)/こうやって社員二人でタッチをすると一日一人一本、会社のおごりで飲める代物です!今月中には全拠点に導入される予定です社員同士のコミュニケーションが生まれるし、熱中症対策にもなるし嬉しいですね#金属技研 #サントリー #おごり自販機 pic.twitter.com/wragUGpVal
金属技研株式会社 Metal Technology (@MetalTechJapan) July 11, 2023